コラム

2022/07/07

お盆にお供えするお花の意味は?マナーや決まりを詳しく解説

お盆の季節には仏壇やお墓にお花をお供えする方も多いですよね。
しかしながら、お盆にお供えするお花の意味まで考える方は少ないのではないでしょうか。

そこで本記事では、お盆にお供えするお花の意味のほか、お供えする際のマナーや決まりまで詳しく解説します。
具体的には、お花とお盆の深い関係や、お花の色や本数などの決まり事、お墓や仏壇にお花をお供えする際の手順やマナーをご紹介。お花を長持ちさせる方法や処分方法などの情報もご紹介します。

お盆にお供えするお花の意味やマナーを理解することで、きっと今までよりも素敵なお花でお盆を迎えられるようになりますよ。

お供えの基本「五供」とは?お盆とお花の深い関係

お供えの基本「五供」とは?お盆とお花の深い関係

仏教において、お墓や仏壇へのお供え物には「五供(ごく・ごくう)」と呼ばれる基本があります。
宗派によって違いはありますが、五供とは「香」「花」「灯燭(とうしょく)」「浄水」「飲食(おんじき)」の五つ。それぞれ、次にご紹介するような意味を持っています。

「香」とは、感じの通り香りのことです。仏教においては、「線香」や法事・法要などで使う粉末状の「抹香」が香にあたります。

香をお供えする理由は、仏様が香りを召し上がるとされていることや、天に上る煙がこの世とあの世をつなぐとも言われているから。
香りが部屋のすみずみまで行き渡ることで、全てのものに平等に接するという仏様の慈悲の心を表し、焚くことでお供えした人や周りの人の心と身体を清める役割があります。

仏壇やお墓にお花を供えることを「供花(くげ)」と呼び、ご先祖様や故人をお花の美しい姿や香りで供養するためにお供えします。
蓮の花が仏教を象徴しているように、仏教とお花の関係は非常に深いもの。厳しい自然の中にあっても美しい花を咲かせ続ける姿が、過酷な修行に耐えて悟りを開く仏教の教えと重なるから、というのがその理由の一つ。
いろいろなルールやマナーもありますが、故人が好きだった花を飾るのも一般的になっています。香りが強いお花や毒・棘のあるお花は避けるなどの注意点もあるので気を付けて選びましょう。

灯燭(とうしょく)

灯燭とは「ともしび」のことで、仏壇やお墓にお供えするローソクの火などが該当します。
ローソクの火は、心の闇や煩悩を照らし出し、そのすべてを取り除くと考えられているのです。
お盆になると提灯に火をともす文化はご先祖様をあの世からこの世にお招きする意味があり、火をともした灯篭を流す「灯篭流し」には、ご先祖様の魂をあの世に送る意味があります。

浄水

仏前や墓前にお供えするお水やお茶を「浄水」と呼び、ご先祖様の渇きを癒し、仏様の清らかな心にあやかるという願いが込められています。
自然水が理想ですが、一番水や一番茶をお供えしても良いでしょう。ただし、浄土真宗ではあの世に渇きはないという教えから、浄水をお供えしないので注意が必要です。

飲食(おんじき)

お供えするご飯を「飲食」と呼び、私達生者が食べているものと同じものをお供えします。
基本的には朝・夕に炊き立てご飯の一膳目を、私達が食べる前にお供えするのがルール。お盆の時期には、一汁三菜を基本とした「霊供膳(りょうぐぜん)」と呼ばれる特別なお膳を用意するのが一般的です。

お盆のお供えは生花が基本!造花は良くないとされる理由

お盆のお供えは生花が基本!造花は良くないとされる理由

最近ではお供え花として、人工的に作られた造花を飾る方が増えています。
しかし、本来は生花を飾るのが基本です。

確かに造花は枯れることもなく、お手入れの手間も少ないので便利なのですが、仏教的には生花を飾る方が適切といえるでしょう。
これは、時間がたてば枯れてしまう、生き物としてのその姿が「命あるものはいつか終わりが来る」という仏教の精神を表現していると言われています。

お花をお供えするという行為は、仏様やご先祖様に想いをはせるためだけではありません。お供えする私達が、こういった教えを再認識するためのものでもあるのです。

もちろん、決して造花が絶対にダメというわけではありません。しかし、せっかくお盆にお供えするのであれば生花を選ぶようにしましょう。

お盆に「墓前」へ花をお供えする手順とマナー

お盆に「墓前」へ花をお供えする手順とマナー

お墓にお供えする花を「墓花(ぼか)」と呼びます。
墓花は、通常のお墓参りの他、お盆のお墓参りにも欠かせません。
選び方は比較的自由度が高いですが、お花の種類や飾り方などの一般的なマナーは守りましょう。

まず、毒や棘のあるものは避けたほうが良いでしょう。これは仏様に毒をお供えしないため、また棘が争いごとを象徴しているためです。
飾るお花の本数は「奇数」が良いとされており、基本的には左右対称になるよう飾りますが、この飾り方を1対(いっつい)と呼びます。

お墓参りで飾ったお花は数日後に片付けに行くのが一般的。
しかし、遠く離れた場所へお墓参りに行く場合はその日のうちに持ち帰り、自宅の仏壇などに飾ります。

お盆に「仏前」へ花をお供えする手順とマナー

お盆に「仏前」へ花をお供えする手順とマナー

仏壇にお供えする花のことを「仏花(ぶっか)」と呼びます。

また、お盆には仏壇前に盆棚を準備して「盆花(ぼんばな)」を飾ります。盆棚とは仏具や食べ物、盆菓子やお花をお供えする机や台の事。

仏壇に飾る仏花の注意点は、墓花とほぼ共通ですが、盆棚に飾る盆花の場合はある程度決まった手順があるんですよ。
例えば、盆花は器に入れたきれいな水「閼伽水(あかみず)」にミソハギの花を添えて飾るのが基本。
ミソハギの花を飾る理由として「旧暦のお盆の頃に開花する」などが挙げられます。

お盆にお供えするお花の選び方は「色合い」と「本数」で選ぶ

お盆にお供えするお花の選び方は「色合い」と「本数」で選ぶ

宗派や地域によって差はあるものの、お盆に飾るお花の本数は左右に3本ずつ・5本ずつといった奇数にするのが一般的。仏教において奇数が好まれるのは、割れない数字である奇数が慶事には良いとされているからです。

お花の色は本数によってかわります。3本の場合は「白」「黄」「紫」の3色、5本の場合「白」「黄」「紫」「赤」「ピンク」の5色が基本です。

また四十九日が過ぎてから初めて迎えるお盆を新盆(にいぼん)と呼び、白いお花だけを飾るという風習があることも知っておきましょう。

お盆のお供えは仏教に馴染み深いお花を選んでも◎

お盆に飾るお花を選ぶ場合、最近は一般的なルールや宗教的な考え方は大事にしながらも自由に好きな花を飾る方も多くなっています。とはいえ、キク、ハス、ミソハギにホオズキなど仏教になじみのある伝統的なお花には根強い人気があります。
では、それぞれのお花にはどういった意味や特徴があるのかご紹介しましょう。

キク

キク

お葬式やお墓のお供え物としてよく飾られる菊の花。もちろんお盆に飾る花としても人気のお花です。
天皇家でも御印章として使われている格式高い特別なお花で、仏さまに最高の敬意を表す意味でも飾られます。花が長持ちすることや、枯れても散らばりにくいこともお盆に人気な理由のひとつです。

ハス

ハス

仏教と深い関係であるハスもお盆には欠かせません。仏教においてハスは泥の中に生まれても汚れなく清らかに咲く「清浄無比の花」と尊ばれ、仏像の台座などにもよく使われています。
花の旬が7月から8月なのもお盆に選ばれる理由のひとつです。

ミソハギ

ミソハギ

ミソハギは旧暦のお盆の頃に開花する、濃いピンクや紫色の花。
供養する餓鬼の喉の渇きを抑える効果があると言われており、お盆に迎える仏様がミソハギの露を好む事や、名前の由来が「禊ぎ萩」から来ていることなどもお盆に飾られる理由です。

ホオズキ

ホオズキ

炎のようなその見た目からも連想されますが、ホオズキは漢字で「鬼灯」と書きます。ご先祖様が迷わずに帰って来られるように、明かりを灯す提灯に見立て盆棚や仏壇に飾るようになったと言われています。

お盆にお供えするアレンジメント花を作るポイント

お盆にお供えするアレンジメント花を作るポイント

お盆に飾る花は、自分で1本ずつ選んで花器に生けるのも良いですが、アレンジメント花(フラワーアレンジメント)を作って飾るのも素敵です。

アレンジメント花は、かごなどの容器の中に入れた吸水性スポンジに、花を挿すように活けたものを指します。購入したり貰った後も、わざわざ別の花器に入れ替える必要がなく、そのまま飾って楽しめるのが特徴。

もちろん、既製品を購入するのではなく、自分でアレンジメントを作ることもできます。
その場合にうまくまとめるコツは、同系色の花でそろること、また主役の花・脇役の花などそれぞれの役割を決めることです。
自分でつくるのに自信がない方は、お花屋さんや通販サイトでも購入できますよ。

お花を飾る手順

お花を飾る手順

お墓や仏壇にお花を飾る場合、まずは花瓶の高さに合わせて花の丈をカットします。花の丈は花瓶の2倍ほどの長さにするとバランスが良く安定します。

丈が決まったら水に浸かる部分は葉や蕾を落とし、生ける前の下処理をしましょう。

真ん中に大きめの花を、まわりの少し低い位置に小さめの花を配置し、全体がひし形になるようにするとバランス良く生けることができます。

花筒へ挿す前に!お盆の生花を長持ちさせる方法

花筒へ挿す前に!お盆の生花を長持ちさせる方法

お盆の花を長持ちさせるには、まず水を清潔な状態に保つことが大事です。毎日水を取り替えるのはもちろんですが、花を生ける前に花瓶の中をきれいに洗って、細菌が繁殖しにくい環境を作りましょう。

また、花を生ける前に余分な葉を落とすことで、余分な葉から水分が蒸発するのを防ぎ長持ちさせることができます。

茎の切り方も重要で、茎を斜めに切ることで断面の面積が広くなり水を吸い上げやすくなります。切り口が空気に触れてしまうと水を吸い上げられなくなるので、茎を切る時はバケツに入った水の中などで切るようにしましょう。

そのまま捨ててはいけない?お盆のお供え花の処分方法

そのまま捨ててはいけない?お盆のお供え花の処分方法

お供え物である花をそのまま燃えるごみとして出してしまっても良いのか気になる方も多いと思います。基本的に仏教ではお供えした花は土に還すものとされていますが、庭があるご家庭でない限り難しいですよね。
土に還すという方法が難しい場合はそのまま捨てても特に問題はありませんが、気になる方は半紙などの白い紙に包んで捨てたり、お香や塩で清めてから捨てると良いでしょう。

まとめ

お盆は、ご先祖様をお迎えする年に一度の大切な行事です。
本記事では、お供えの基本「五供」の基本から、お盆にお供えするお花の種類と意味、お供えマナー、アレンジメントを作るポイントまでなどもご紹介しました。
お迎えする私達の心も華やかに彩る、お盆のお供え花。

お盆にぴったりの素敵なお花をお供えして、大切なご先祖様を気持ちよくお迎えする準備を整えましょう。