コラム

2022/07/04

お盆に飾る花の種類は?飾る目的やシーンを解説

ご先祖様がお帰りになられる、年に一度の行事、お盆。
そんなお盆に欠かせないのが、仏壇やお墓に飾るお花の存在です。

とはいえ、お花は非常に種類が豊富なので、お盆に飾る花をどう選べばいいかわからない、と困ってしまう方も多いもの。

そこで本記事では、お盆に飾る花の選び方を解説。そもそもお花を飾る理由から、お盆に飾るお花の種類、選ぶべき花材まで詳しくご紹介します。

お盆にぴったりの素敵なお花を選んで、気持ちよくご先祖様をお迎えしましょう。

お花を飾る「お盆」はご先祖様が帰られる期間

お花を飾る「お盆」はご先祖様が帰られる期間

初めに、お盆の意味からご紹介しましょう。

お盆は、「ご先祖様があの世からこの世に戻ってくる」期間です。お盆の始まりには「迎え火」によってご先祖様を家にお迎えし、最終日には「送り火」を炊いて再びあの世にお送りします。

お盆の期間は地域によっても違いがありますが、基本的には8月13〜16日の4日間です。

過ごし方はそれぞれですが、お盆にまつわる行事に参加したり、家族でお墓参りに行き、食べ物や花などをお供えするというのが一般的な過ごし方です。

お盆に花を飾る理由は?仏教とお花の深い関係

お盆に花を飾る理由は?仏教とお花の深い関係

次に、お盆にお花を飾る理由について解説します。

そもそも日本には、お盆という行事が生まれる前から「夏にご先祖様を供養する」という風習がありました。そこに仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)という行事が伝えられ、「お盆」という文化として浸透していったと考えられています。

お盆にお花を飾るのは、その由来の一部となった仏教において、お花が非常に重要な役割を持っているから。
厳しい自然の中を生き美しい花を咲かせるお花は、仏教における「苦難や悲しみを経験してこそ悟りを開ける」という考え方を表現していると考えられているのです。

お盆に飾る花①「盆花(ぼんばな)」

お盆に飾る花①「盆花(ぼんばな)」

ここからは、お盆にお供えするお花の種類についてご紹介しましょう。

まず1つ目は「盆花(ぼんばな)」です。盆花は、お盆の期間中ご先祖様の霊に供え物をする棚「盆棚」に飾るお花の総称。
盆棚に飾るのはお花だけではなく、マコモのゴザを敷き、仏具や食べ物、盆菓子やお花をお供えします。

盆花は、閼伽水(あかみず)と呼ばれる清らかな水にミソハギの花を添えて飾るのが基本です。

お盆に飾る花②「墓花」

お盆に飾る花②「墓花」

お墓参りのお供え物としても、お花の存在は欠かせません。
お墓参りで飾る墓花を選ぶ際は、ご先祖様が生前好きだった花や、長持ちする花、枯れてもあまり散らない花などを選ぶのがおすすめです。一方で毒のある花、棘のある花、香りの強い花などは避けた方が良いでしょう。

お盆に飾る花③「仏壇」

お盆に飾る花③「仏壇」

仏壇に飾る花は「仏花」と呼ばれ、お盆に飾る場合は「白」「黄」「紫」「赤」「ピンク」の5色、もしくは「白」「黄」「紫」の3色が基本になります。

お花の本数は奇数が良いとされ、1対(いっつい)と呼ばれる左右対称になる飾り方が一般的です。

特にお花の種類に決まったものはありませんが、こちらも毒のある花、棘のある花、香りの強い花などは避けるようにしましょう。

お盆に飾る花材は「ホオズキ」「ハス」「ミソハギ」が基本

お盆に飾る花は具体的にどのような種類があるのでしょうか。まずは基本となる「ホオズキ」「ハス」「ミソハギ」についてご紹介します。

ホオズキ

ホオズキ

まずお盆に欠かせないのがホオズキです。
ホオズキは漢字で「鬼灯」と書き、お盆の期間にご先祖様が迷わず家まで来れるよう、迎え火の提灯に見立てて飾るようになったのだとか。

ハス

ハス

仏像の台座にも使われるなど、仏教の象徴ともいえるお花であるハスもお盆には必要不可欠です。
泥の中でも美しい花を咲かせるその姿は仏教の精神を体現していると考えられ、「清浄無比の花」と尊ばれています。

ミソハギ

ミソハギ

濃いピンクや紫色の花を咲かせるミソハギは、旧暦のお盆の頃に開花するお花。

ミソハギには、死者の渇きを癒す効果があるとされています。
ちなみに、ミソハギの花言葉の一つは「愛の悲しみ」。お盆の時期に咲く姿が亡くなった人を思い出させることから、付けられた意味なのだとか。

他にもお盆は「菊」や「ユリ」「胡蝶蘭」のお花が人気

ご紹介した花のほかにもお盆に人気のお花はいろいろあります。それぞれのお花についてご紹介します。

菊

菊の花は、お葬式やお供え物としても頻繁に飾られるお花。
菊は皇室の御印章としても用いられる格式高いお花で、仏教においては邪気を払うと考えられてきました。
花びらの持ちがよく、あまり散らないことからも、仏花として広くお供えされています。

花言葉は「高尚」や「清浄」など。

ユリ

ユリ

凛とした可憐な咲き姿が魅力のユリも、仏前や墓前にお供えされることが多いお花です。
白百合の花言葉は「純潔」「威厳」。

香りが強いものもあるので、控えめな香りのものを選ぶと良いでしょう。

胡蝶蘭

胡蝶蘭

美しく品格のある立ち姿の胡蝶蘭もまた、お盆などお悔みの場面におすすめのお花です。

花持ちが良く暑さにも強いため、お盆に飾るにはぴったり。
香りがほとんどないことや、花粉が落ちないこともお盆に向いている理由です。

初盆には「白いお花」を飾る風習がある

初盆には「白いお花」を飾る風習がある

四十九日が過ぎてから初めて迎えるお盆を初盆(はつぼん)や新盆(にいぼん)と言いますが、初盆や新盆では白いお花を供える風習があります。

以上でご紹介したユリや胡蝶蘭の他、「生き続ける愛情」や「尊敬」という花ことばを持つ白いカーネーションなどがぴったりでしょう。

お盆では香りが強い・棘がある・毒を持つ花は避ける

お盆では香りが強い・棘がある・毒を持つ花は避ける

宗派や地域によっても違いますが、お盆に飾るお花として適していない種類のものがいくつかあります。

例えば香りが強い花。強い香りは虫を呼び寄せたり、他の方に迷惑をかけてしまうおそれがあるため、避けたほうが無難でしょう。

また、バラなど棘がある花は争いを連想させ仏教の教えに反するため、彼岸花など毒を持つ花は仏様に毒をお供えすることになってしまうので避けるべきです。

お盆に飾るお花は「奇数本」が基本

お盆に飾るお花は「奇数本」が基本

お盆に飾るお花の本数は左右に3本ずつや5本ずつ、7本ずつなど「奇数」にするのが一般的です。
日本人は奇数を好む傾向にありますが、これは割れない数字である奇数が慶事には良いとされているからです。

お盆に飾るお花以外のお供え物

お盆に飾るお花以外のお供え物

お盆にはお花以外にも「精霊馬」や「水の子」といったお供え物を飾ります。
精霊馬はきゅうりや茄子に割り箸などを差し、馬や牛に見立てたもの。これらは、ご先祖様があの世とこの世を往来するための乗り物とされています。

水の子は、洗ったお米と賽の目に刻んだきゅうりと茄子を混ぜ、蓮の葉などにお供えしたものです。これはご先祖様以外にお盆に一緒に帰ってくる餓鬼や無縁仏をもてなすためのお供え物で、全ての霊をおもてなしするという仏教の優しさや心遣いがうかがえますね。

お盆に飾るお花は故人様のことを考えながら選びましょう

お盆に飾るお花は故人様のことを考えながら選びましょう

お盆に飾るお花を選ぶ場合は気を付けなければいけないマナーがいくつかありますが、一番大事なのは故人様のことを考えながら選ぶことです。

最近では、一般的なルールや宗教的な考え方は大事にしつつも、より柔軟に、ご先祖様が好きだった花を飾ることも多くなっています。なにより、ご先祖様への気持ちを込めてお供えすることが大切ですね。

お盆に飾るお花はどこで買う?

お盆に飾るお花はどこで買う?

では実際にお盆に飾るお花はどこで買えば良いのでしょうか?

お盆の時期には花屋以外にも、スーパーや百貨店などでもお盆用のお花のセットが販売されています。
実店舗で購入する場合は実際のお花の見た目や香りを確認できたり、お盆に適したお花を選んでもらえたりできるので便利。

こういった実店舗の他にも、最近は通販サイトで購入する方法もあります。実際のお店ではなかなか扱っていないお花があったり、お盆以外でも誕生日などその季節の行事やイベントなどに合わせた花束やアレンジメントのギフト特集をやっているのでおすすめですよ。
不明な部分も問い合わせすれば答えてくれるので安心ですね。

まとめ

本記事では、お盆という大切な期間に、盆花・墓花・仏壇に飾るお花について詳しく解説しました。
お盆に飾るお花としては、ホオズキ・ミソハギ・ハスといった花材のほか、菊・ユリ・胡蝶蘭といったお花も頻繁に飾られています。

基本的に飾るお花は自由に決められますが、初盆では白いお花を選ぶ事が基本です。
ルールやマナーを理解し、ご先祖様を丁重にお迎えしましょう。