「来週末はお墓参りだけど、必要な持ち物は?」
お墓参りは、お彼岸やお盆を含めて年に数回しかないため、あまりなじみがない方も多いでしょう。準備に漏れがあり必要なものを忘れてしまうと、ご先祖様や親しかった知人に申し訳なさを感じてしまうかもしれません。
本記事では、お墓参りの際に必要な7つの持ち物を説明します。7つの持ち物とは、「お線香」「お花」「ろうそく」「お水」「食べ物」「数珠」「掃除用具」です。
7つのなかでも、注意が必要なのはお花です。花選びのマナーを知らないと、身内の人に誤解を与える恐れがあります。
そこでお墓参りや法事・法要のお花について、その意味から選び方、購入方法まで詳しく解説します。ふさわしい持ち物を漏れなく用意し、故人・自身・身内の人にとって気持ちの良いお墓参りをおこないましょう。
お墓参りの持ち物一覧│必要な掃除用具も紹介
では、お墓参りには何を持っていくのでしょうか。必要な持ち物は、5つのお供え物に数珠と掃除用具を加えた次の7つがメインです。
- お線香
- お花
- ろうそく
- お水
- 食べ物
- 数珠
- 掃除用具
お墓参りに必要とされる理由やマナーについて、それぞれ見ていきましょう。
お線香
線香はお墓参りに欠かせないお供え物の一つです。
お墓参りの線香は、しっかりと香りが出るものを選びましょう。仏教では、香りは故人の食べ物と考えられているためです。線香には家庭用もありますが、十分に香るお墓参り用を選んでください。
お線香は霊園や墓地で販売されていることもあります。事前に準備しておくほうが安心ですが、忘れてしまっても、焦らず霊園に確認してみてください。霊園で販売していなくても、線香を買えるお店を教えてくれるかもしれません。
お花
お墓参りでは花も用意しましょう。
お墓参りで花を供えるようになった由来は、お釈迦様の行動にあるとされます。修行中に仏様に出会ったお釈迦様は、尊ぶ気持ちを込めて花を贈りました。仏様が花をもらって喜ばれたため、仏教では供養のために花をお供えするようになったと言われています。
お墓参りの花は、故人が好きだった花を選ぶのがおすすめです。お墓参りは故人のための行事だからです。故人が好きな花がわからない場合は、好きな色から選んでも良いでしょう。
ただし、後ほどお伝えするように、お墓参りの花にはマナーがあります。マナーを知らないと、身内の人に誤解を与えるかもしれません。不安な人は、マナーもふまえて故人に喜んでもらえる花を選んでください。
ろうそく
お墓参りには、ろうそくも持っていきましょう。
仏教の考えにおいて、ろうそくの火には「お参りに来た人の顔をご先祖様に見えるように照らす」という重要な役割があります。ろうそくは線香に火をつける役割も担い、お供えに欠かせないもの。
また、当然ですがろうそくに火を灯すにはライターやマッチなどの道具も必要です。忘れずに用意しましょう。
風が強いと、火がうまくつかないことがあります。仏具店では風よけがついたライターも販売されているので、心配な人は一つ持っておくと安心でしょう。
お水
墓地に水道施設がない場合は、お水も準備しましょう。浄水は故人に捧げるお供えものの一つです。「水鉢(みずばち)」といわれるくぼみに入れてお供えします。
その名の通り水鉢は、水をお供えする場所です。線香や食べ物を入れないようにしてください。また、お茶やジュースなどの水以外の液体も入れないようにします。水鉢が傷む原因になるためです。
近年ではデザイン性を重視して建てられたお墓も増えてきました。そんなお墓には、水鉢がないこともあります。水鉢がない場合は、別途湯呑を用意してそこに水を入れましょう。
食べ物
お墓参りでは、故人が好きだった食べ物や飲み物をお供えする風習もあります。果物やお菓子、お酒、ジュースなどをお供えする人が多いです。
食べ物のお供えする時に注意したいのは、「おぼんや半紙の上に置くこと」「封を切った状態でお供えすること」です。
食べ物を墓石に直接置くのはマナー違反とされています。食べ物はおぼんや半紙、「懐紙(かいし)」の上にお供えします。
また、おぼんや半紙の上に置く食べ物は、封を切っておきましょう。お菓子なら箱や袋から出した状態、飲み物ならフタを開けた状態です。封を切ることで故人や仏様に食べ物の香りを楽しんでもらえると考えられています。
数珠
お墓参りに行くなら、数珠も忘れずに用意しましょう。仏教では仏前や墓前で拝むときに、数珠を手にかけるのがマナーとされています。
数珠の玉の数は、人間の煩悩の数と同じ108です。仏教では、数珠が108の煩悩を引き受けてくれ、心を惑わされることがなくなると考えます。
実際、数珠を使ってみると、「手に数珠をかけると気持ちが落ち着く」と感じるものです。これまで数珠を使わなかった人も、気持ちの込もったお墓参りになるよう、使ってみてください。
掃除用具
お墓参りでは掃除用具も必要。お墓に着いたら、まずお墓の掃除をするのがマナーと考えられています。
お墓を掃除するときにあると便利なのは、次の道具です。
- スポンジ
- 毛の柔らかいタワシ
- 歯ブラシ
- タオル
- ほうき・ちりとり
- 軍手
- ゴミ袋
墓石だけでなく花立てや線香入れ、墓地周辺など、お墓参りではさまざまな部分を掃除します。汚れをしっかり落とせるように、複数の掃除用具を用意しておくのがおすすめです。
その他あると便利なもの
ここまで紹介した7つの他にあると便利なものは、虫よけスプレーと薄手のカーディガンです。
緑に囲まれていることの多い霊園は、虫にさされやすい場所です。虫さされが気になると、お祈りをするときに落ち着きません。虫よけスプレーをしておけば、さされる心配が減り、お祈りに集中しやすくなります。
肌の露出を減らしてくれる薄手のカーディガンを羽織れば、虫さされはさらに気にならなくなります。
薄手のカーディガンは、服装を場にふさわしくしてくれる点でも便利です。お墓参りにふさわしいのは、露出が少なく落ち着いた色の服と考えられています。服装が目立つのが心配な人は、ひかえめな色のカーディガンを用意しておくと良いでしょう。
お墓参りの持ち物が購入できる場所
前項で紹介したお墓参りの持ち物は、「ホームセンター」「100円ショップ」「ネット通販」で購入できます。
購入場所によって、買える商品の品質や価格が変わります。適切な買い物ができるように、それぞれの特徴を見ていきましょう。
ホームセンター
「お墓参りに必要なものを一度にそろえたい」という場合は、ホームセンターで購入するのがおすすめです。
品ぞろえが豊富なホームセンターなら、ろうそくから花、掃除用具までまとめて購入できます。スーパーに併設されているホームセンターなら、食べ物も一緒に買えるので便利です。
ホームセンターは専門店と比べると品ぞろえの面で劣りますが、お墓参りの前日や当日に必要なものを買いそろえてしまいたい人には、おすすめです。
100円ショップ
なるべく出費を減らすなら、100円ショップを活用してください。お線香やろうそく、掃除用具は、100円ショップでも購入できます。
100円ショップは、とくに掃除用具を買いたいときにおすすめです。お墓掃除をするときには、たわしやメラミンスポンジ、棒状のブラシ、軍手など、複数の用具が必要になります。100円なら、あると便利な掃除用具をリーズナブルにそろえられます。
ただし、100円ショップで必要なものが全てそろうわけではありません。100円なので長く使える品質でないこともあります。そのため、「どれを100円ショップで買うのか」はしっかり考えましょう。
ネット通販
お墓参りの持ち物をスキマ時間でそろえるなら、ネット通販がおすすめです。ネット通販なら、店舗に足を運ぶ必要がありません。24時間好きなタイミングで商品を探せるので、忙しい人におすすめです。
専門店から購入できるのも、ネット通販の魅力です。たとえば、数珠はお墓専門店、花は花専の門店から買えるので、高い品質のものを用意できます。
スキマ時間に買いそろえたい人や、こだわって選びたいものがある人は、ネット通販を利用するのが良いでしょう。
お墓参りでお供えする花は購入時に注意が必要
お墓参りの7つの持ち物について解説してきましたが、なかでも購入時に注意が必要なのは花です。
前項でお伝えした通り、花選びで最も重要なのは、故人に喜んでもらうことです。しかし、お墓参りの花にはふさわしいとされる種類や本数があります。花のマナーを大切にしている人もいるため、マナーを知らずに選ぶと、身内の人から誤解を受けるかもしれません。
また、花は購入タイミングにも気をつける必要があります。花は生きているものです。購入タイミングや保管方法を誤ると、元気な花をお供えできません。
このように、お墓参りでお供えする花は購入時に注意が必要です。お供え後に後悔しないように、注意点について見ていきましょう。
お墓参りでお供えする花に関するマナー|種類や本数を解説
お墓参りの花選びには、マナーがあります。そこで、ふさわしいとされる種類と本数、ふさわしくないとされる種類と本数を紹介します。
故人に喜ばれる花をマナーに配慮しながら選べるようになりましょう。
ふさわしいとされる花の種類や本数
お墓参りにふさわしいとされる花は、日持ちする花です。
花は故人の冥福を祈って贈られるものです。また、お墓を華やかにする役割もあります。そんな花がすぐに枯れてしまったら、残念ですよね。そのため、日持ちする花が良いとされています。
お墓参りの花には、本数にもマナーがあり、奇数本の花を2組お供えするのがふさわしいとされます。気になる人は、本数にも配慮して花を用意しましょう。
ふさわしくないとされる花の種類や本数
お墓参りにふさわしくないとされる花の種類は、毒やトゲ、強い香り、花粉があるものです。
お墓参りでは、4本や6本などの偶数本の花を供えるのも良くないと考えられています。セットで購入するなら気にしなくても良いケースが多いですが、自分で購入するなら気をつけましょう。
最近では種類や本数のマナーを気にせず選ぶ人も増えていますが、心配な人は親族に相談してみると良いでしょう。
お墓参りの花は霊園のルールに従って選ぼう
お墓参りの花を選ぶときは、霊園のルールに従うことも重要です。たとえば、虫が集まるという理由から、生花を禁じている霊園もあります。花の持ち帰りについての規則を定めている霊園も少なくありません。。
ルールを知らずに選んでお供えすると、となりにお墓を建てたご遺族に迷惑をかける可能性があります。一般的なマナーに加えて、霊園のルールも事前に確認してください。
お墓参りにお供えするのにおすすめの花
ここまで紹介したマナーもふまえて、お墓参りにおすすめの花を紹介します。花選びに迷っている人は、参考にしてください。
菊
菊はお墓参りでは定番の花です。切り花にしても長持ちする点、高貴な姿が邪気を払うとされる点から、菊は昔からお供えの花として使われてきました。
年中入手しやすいことや色が豊富なことも菊の魅力です。迷ったら菊を選択肢にしてみてください。
カーネーション
カーネーションは母の日のイメージが強い花ですが、お墓参りでも使われます。とくに「亡き母を思う」という花言葉を持つ白のカーネーションは、好まれる傾向にあります。
1本の茎から枝分かれして複数の花を咲かせる「スプレーカーネーション」をサブとして使うのも良いでしょう。
故人が好きだった花
お墓参りで供える花を決められないときは、「故人が好きかどうか」を基準に選んでみてください。
トゲのあるバラや花粉の多いユリは、お供えにふさわしくないとされます。しかし、故人が好きだった場合、トゲや花粉を取ってお供えするのも一つの手です。
それでも心配な人は、「故人が好きだった色の菊」のように、個人の好みと定番の花を組み合わせて選んでみてください。
お墓参りの花を購入するタイミング
お墓参りの花を購入する代表的なタイミングは、当日と前日です。
当日購入と前日購入には、それぞれメリット・デメリットがあります。自身にふさわしいタイミングで購入できるよう、それぞれの特徴を見ていきましょう。
当日に購入する場合のメリット・デメリット
当日購入のメリットは、花の保管にあまり気を遣わなくても良いことです。「涼しい場所に保管する」「寝かせず立てて保管する」などの基本的なポイントを意識すれば、きれいな状態の花をお供えできます。
ただし、当日購入にはリスクもあります。買おうと思っていた花が、店舗にないかもしれません。朝早くからお墓参りをする場合は、花屋やスーパーが開いていないことも。そのため、可能な限り前日に準備するほうが良いでしょう。
前日に購入する場合のメリット・デメリット
お墓参りの前日に花を購入すれば、当日になって慌てずにすみます。
お墓参りの当日は、他の持ち物の準備であたふたしがちですが、前日に花を用意しておけば、ゆっくりと他の持ち物の準備ができます。「当日買おうと花屋によったら、営業時間外だった」となるリスクもなく安心です。
前日購入の場合、「水に入れる」「新聞で包む」「立てた状態で涼しい場所に保管」など、花の状態維持には注意が必要です。しかし、お墓参りの花は持ちが良いことが多いので、しっかり注意できれば元気な花をお供えできます。
まとめ
お墓参りの持ち物は、「お線香」「お花」「ろうそく」「お水」「食べ物」の5つのお供え物に、「数珠」「掃除用具」を加えた7つです。
ホームセンターやネット通販で用意して、準備万端な状態でお墓参りに向かいましょう。
お墓参りは毎月いくような行事ではありません。年に1回という人も、もっと頻度が少ないという方もいるでしょう。
たまにしか会えないご先祖さまだからこと、いざお墓参りに行くときには持ち物に気をつけるのはもちろん、その時にしは話せない自分の人生でのご報告なども考えておいてくださいね。