コロナ禍には、これまであまり取り上げられなかったさまざまな社会課題が関心を集めるようになりました。まだ十分食べられる食品が廃棄されてしまうフードロスと同じような問題が、実はお花に関してもあるのです。
新鮮で健康なお花が、消費者の前に出回ることがないままに大量廃棄されることを「フラワーロス」と言い、花き業界では大きな課題の一つでした。コロナ禍により数多くのイベントが中止され、お花の購入量が大幅に減ったことで、花農家が経営危機に瀕し、花き業界に携わっていない人たちにも知られるようになりました。
本記事では、フラワーロスの具体的な原因や、解消のための取り組み・支援などについて解説しています。私たちがフラワーロス支援のためにできる取り組みは、とても簡単です。「お花のある暮らしを続けていきたい」という人は、ぜひ参考にしてみて下さい。
花き業界の大きな課題「フラワーロス」
フラワーロスとは、仲卸業者が定めている検品基準に適していないために、新鮮なお花が市場に出回ることなく大量に廃棄されたり、あるいは小売店で販売されても売れ残ったりすることです。こういったお花の量は、生産量全体の約2~3割を占めると言われています。
また、コロナ禍が始まると大半の冠婚葬祭やイベントが中止され、会場装飾に使われるはずだったお花をほとんど廃棄せざるを得ませんでした。フラワーロス問題は、以前から花き業界では課題になっていましたが、業界外の人々にも広く関心を持たれるようになったのはそういう経緯です。
フラワーロスをなくすための取り組みとは?
コロナ禍にフラワーロスが顕在化すると、日本でも花農家支援のための取り組みが徐々に広がってきました。主な取り組みは、廃棄予定のお花を、通販や直接販売、お花の定期便(サブスク)などで購入することです。
仲卸業者の検品によって規格外になったお花は、通販や直接販売などのルートで販売されます。花農家や市場から直送されるため、比較的町のお花屋さんに並んだお花よりも新鮮です。規格外のお花は「ふぞろい」「アウトレット」という扱いなので、通常価格よりもかなり安く購入できます。
フラワーロスのお花を購入する方法の中で一番自由度が高いのは、通販です。家にいながら好きなお花を選べるので、コロナ禍にも利用しやすいでしょう。
直接販売は、花農家や町のお花屋さんが、廃棄予定のお花を店頭で販売することです。1輪ずつや花束など、売り方はお店によってさまざまです。週末や月末などに、アウトレットのお花を販売するイベントを開催しているお店もあります。
コロナ禍で、特に利用者が増えたのはお花の定期便(サブスク)です。
定額制で自宅まで定期的にお花を届けてくれるため、多忙な人や子育て中の人にもおすすめです。定期便は本当にサービスが幅広いので、ぜひ「初回お試しプラン」などを試してみて下さい。
お花をドライフラワーにする取り組みでフラワーロスを解決?
フラワーロス支援などで購入したお花は、家の中に飾った後、ドライフラワーにするのもおすすめです。ドライフラワーの手作りは一見難しく感じられますが、コツを押さえれば誰にでも簡単に完成させられるので、おうち時間に始める人が増えています。
ドライフラワー作りに一番大切なのは「お花選び」です。
ドライフラワーにしやすいお花は、水分が少なくて乾燥しやすく、あまり変色しないお花です。短時間で乾燥しやすく、濃い色の花弁であれば、綺麗な色が残りやすいでしょう。
具体的には、バラ、スターチス、ミモザ、ケイトウ、秋色アジサイ、アナベル、カスミソウ、ユーカリなどのお花です。
ちなみに、同じアジサイでも、夏のアジサイはドライフラワーには不向きです。気をつけて下さいね。
ドライフラワーに向かないお花とは?フラワーロスへの取り組み
ドライフラワーに向かないお花は、水分が多くて花弁が薄いものです。ドライフラワーは、乾燥に時間がかかると、綺麗な仕上がりにならないのです。
ドライフラワーにあまり適していないお花を具体的に挙げると、桜、ユリ、チューリップ、菊、ダリア、トルコキキョウ、カーネーション、オンシジウム、ドラセナなどです。
これらのお花にもドライフラワーにできるものはありますが、手間や時間がかかったり、色味があまり鮮やかに残らなかったりするため、慣れてからチャレンジすることをおすすめします。
フラワーロスのお花で!ドライフラワーの作り方3パターン
ドライフラワーを作る方法は、主に3種類あります。
「ハンギング法」は、ビギナーに最もおすすめの方法です。生花を束ね、逆さまにして吊るしておくだけでドライフラワーが作れます。
デメリットは、湿度などの環境にかなり影響されることと、色がくすみやすいことです。
「ドライ・イン・ウォーター法」は、少量の水に生けたまま、お花の水分を少しずつ蒸発させる方法です。デメリットは、時間がかかるため、色褪せやすい点です。
「シリカゲル法」は、ドライフラワー専用の乾燥材を使って一気に乾燥させる方法です。まるで生花のように形も色も柔らかく綺麗に残りますが、費用や手間がかかることと、花首から上しか残せない点がデメリットです。
ハンギング法でドライフラワーを作る方法とコツ
ビギナーにもおすすめの、ハンギング法でドライフラワーを作る方法や成功するコツを紹介します。
吊るす前に、傷んでいる花弁や葉をすべて取り除き、水に漬かっていた茎も切り落とします。
乾燥しやすくするために、重なり合っている葉も取り除きます。
花材を輪ゴムで留め、1本ずつ間隔を空けて麻ひもに結びつけます。
風通しがよく紫外線が当たらない場所に、約2週間ほど逆さまにして吊します。
花材は乾燥すると縮むので、輪ゴムで留め、それから麻ひもに結びつけましょう。
吊るす際は、壁から少し離して下さい。壁に接してしまうと、その部分のお花や葉が潰れてしまいます。
お花や季節によって異なりますが、乾燥させる期間は約2週間です。お花からカサカサと音がして、色が濃くなったらしっかり乾燥しています。
ドライフラワーは飾る場所もポイント
ドライフラワーはとても脆くて崩れやすいので、飾る場所にも少し注意が必要です。
風通しがよい
直射日光やエアコンが当たらない
湿度が低い
人がぶつからない
基本的には、湿度が低くて直射日光が当たらないところがベストです。環境によっては、1年以上持つこともあります。
まとめ
瑞々しいお花が、少し検品基準に適さないだけで大量に廃棄されてしまうフラワーロス問題ですが、救うための取り組みも次第に広がってきてます。
例えば、通販やお花の定期便などで、規格外になってしまったフラワーロスのお花を購入することは、最も直接的な支援です。生産地や市場からの直送が多く、「これが規格外なの?」と驚くほど新鮮なお花が届きます。
また、お店によってはフラワーロスのお花を1輪から購入できるところもあります。「フラワーロスの取り組みに参加してみたい」「長いおうち時間にお花を飾りたい」という人は、ぜひチェックしてみて下さいね。