コラム

2022/07/04

知っておきたい開業祝いの心得とは?お花を贈る際のポイントも詳しく解説

取引先が新拠点を構えたり、あるいは友人や知人が開業したりする際には、何かお祝いを贈りたくなりますよね。長い人生の中で、そういうシーンを迎えることもしばしばあるでしょう。

本記事では、そんな時に役立つ、新規開業にお祝いを贈る意義、開業祝いを贈るタイミングやお祝いの相場観などの情報をご紹介しています。

また開業祝いには、お花を贈りたいと考えている方も多いでしょう。そのような方に向けて、お花を贈る際のポイントや選び方のコツなどについても詳しく解説していきます。

開業祝いは開業した時にしかもらえないものですから、ぴったりなものを贈れた場合にはきっと心に残るものとなるでしょう。ぜひ、素敵な開業祝いを贈ってみてください。

新規開業にお祝いを贈る意義

新規開業にお祝いを贈る意義

新規開業をするお相手は、相当な資金と時間を使って新たな門出を迎えたわけです。
多くの不安やストレスを乗り越え、勇気をもって開業の日に辿り着いたのですから、お相手の感慨もひとしおであることは、間違いありません。

新規開業にお祝いを贈るということは、お相手の勇気や努力を称え、「今後の発展や成長を祈っていますよ」というあなたの気持ちを、形にして届けることができるという意義があります。
そして、頂いたお相手にとっては、ハレの日の大きな記念として心から感謝することになるでしょう。それが現金であれば、今後の事業所やお店の運営資金の足しになるでしょうし、それがモノであれば、長く記憶に留まるシンボルになります。

また、それがお花であれば、開店したオフィスやお店をゴージャスに飾るデコレーションにもなります。オフィスで働く人のモチベーションアップや、新店舗の集客の強力なツールにもなるのです。

開業祝いを贈るタイミングは?

開業祝いを贈るタイミングは?

開業祝いを贈るタイミングは、早過ぎてはいけません。

なぜなら、お祝いの品がモノやお花であった場合、新店舗や新オフィスは開業直前まで内装工事中であることが多く、置き場の余裕がなかったり、工事の邪魔になったりするためです。
また、内装工事が終わっていたとしても、空調機器が作動していない状態であることも多く、そこにお菓子や生花などを早く届けてしまうと、早く傷んでしまうということにもなりかねません。
お相手の開業日をきちんと確認し、開業直前や開業当日に届くよう、確実に期日指定をしてください。

開業祝いの予算は?

開業祝いの予算は?

開業祝の相場の金額について、明確な基準はありません。なぜなら、その金額レベルは送り手の企業の予算や個人の懐事情に左右されますし、お相手との関係の深さによっても変動幅が大きいからです。

そうはいっても、ビジネスの関係を大事にしたり、友人や知人、あるいは家族や親戚としての絆を今後も深めていきたいという希望があったりするような場合には、少しでも高めの予算にしたいものですね。

そこで、あくまで大まかな目安とし、予算の相場をご紹介します。

  • 一般取引先:10,000~30,000円
  • ビジネスパートナーやお得意様:30,000~50,000円
  • オーナー、院長、社長:30,000~50,000円
  • 友人や知人:5,000~30,000円
  • 家族や親戚関係:20,000~50,000円

開業祝いに贈り物を選ぶポイント

開業祝いに贈り物を選ぶポイント

大事なポイントは、あなたが贈りたいものを贈るのではなく、相手の立場になって何をもらえたら嬉しいかを思いめぐらせて贈るということです。

お相手が開業するまでにお金に苦労なさっている場合は、応援の意味を込めて現金もいいでしょう。また、お洒落なクリニックや清潔感が大事なマッサージ店ならば、清楚なお花が喜ばれるかもしれません。飲食業の場合は、客寄せに役立つお花のスタンドも歓迎されるでしょう。

同時に考慮すべきポイントとしては、贈ることでお相手のご迷惑なるものは避けなければならないという点です。例えば、従業員が30名もいらっしゃる店舗に、20袋にも満たないお菓子の詰め合わせをお届けしたりだとか、こじんまりとした店舗に大きな鉢植えの観葉植物をお届けしたりだとかは、迷惑や失礼になってしまう場合があります。

開業祝いに選ばれている贈り物

開業祝いに選ばれている贈り物

開業祝いの最適な贈り物については、贈り先の業種、業態、オフィスや店舗の規模、あるいは個人的な嗜好性に関して、よく考える必要があります。

お相手が客商売であるならば、商売繁盛の縁起物の「招き猫」などが喜ばれるでしょう。
あるいは、開業祝いとしての定番の胡蝶蘭やスタンド花、もしくは観葉植物なども良いでしょう。

お届け先がオフィスであれば、事務用品やお菓子なども良いでしょうし、オーナーや社長向けには高級酒や美味しいスイーツなども喜ばれるでしょう。
ただし、これらを贈るには先方の嗜好性が分かっていることが前提になります。

そういった意味では、相手に選択肢があるカタログギフトや現金、ギフト券などが無難ですよね。
お届け先が親しい仲であれば、その方が何を欲していらっしゃるのか率直にお尋ねするというのが、一番間違いない方法です。

開業祝いにはなぜ「花」が良いのか

開業祝いにはなぜ「花」が良いのか

開業祝いの贈り物に花が選べる理由を考察してみましょう。

縁起がいい

鉢植えの草花は、鉢の土の中にしっかりと根が張っています。
これは、「地域に根付く」「お客が根付く」という縁起につながっており、商売繁盛、ビジネス繫栄を祈るお届け先にとって、ありがたい頂き物として受け取ってもらえるでしょう。

店舗を目立たせ、集客の役に立ち、印象をよくする

開店祝いのお店の前に、目に鮮やかなスタンド花が飾られていたら、思わず目を向けてしまいますね。このようにお花は店舗を目立たせ、それによって集客につながることも多いため、大変喜ばれるのです。
また、クリニックやオフィスの中に飾られた豪華な胡蝶蘭などは、その場の印象を良くしてくれます。

送り先と送り主の関係性をアピールできる

アレンジメントのお花や胡蝶蘭には、名札が立てられていることが多いです。その名札によって、送り先と送り主の関係性を第三者にアピールできます。その関係性が、開業したオフィスや店舗の信頼性を高めたりすることができるので、ほとんどの送り先はお花を歓迎します。

開業祝いに「胡蝶蘭」を贈る

開業祝いに「胡蝶蘭」を贈る

胡蝶蘭(こちょうらん)が開業祝いの定番とされているのはなぜでしょう。

胡蝶蘭には「幸福が飛んでくる」という花言葉があります。まさに開業祝いにふさわしい花といえます。
また、胡蝶蘭は他のお花と比べて値が張るものです。だからこそ、送り手の気持ちの強さが伝わりやすいのです。

胡蝶蘭は1カ月から3カ月もの長期間咲くので、花を見る楽しみが長く持続します。加えて、花粉や香りが少ないという特徴から、飲食店やクリニックなどにも抵抗なく贈ることができます。

胡蝶蘭以外の植物としては、次の2つの観葉植物がおすすめです

パキラ

「お金をもたらす樹」という別名を持っています。花言葉は「勝利」。厳しいビジネス環境で勝利を収めるという、良い意味でとらえてもらうことができます。
また、「快活」という花言葉も持っています。その意味の通り、暑さや寒さ、そして乾燥にも強く、日陰でも育つほどの生命力があり、送り先の手を煩わせません。

ドラセナ

スタイリッシュで恰好良いドラセナは、日本で「幸福の木」と呼ばれ親しまれている観葉植物です。ドラセナを育てられている方や、これから育てたいと思われている方は多いのではないでしょうか。
ドラセナの大きさは、卓上に置けるコンパクトなサイズから20m程の大きなサイズまでさまざまです。
花言葉もずばり、「幸福」。その他に「永遠の愛」、「隠し切れない幸せ」などの花言葉も持っています。その樹形は大変スタイリッシュであり、オフィスや店舗の雰囲気づくりにも一役買ってくれます。

開業祝いに贈る花のスタイル

開業祝いに贈る花のスタイル

開業祝いに贈る花のスタイルとしては、次のようなものがあります。

花スタンド

スタンド花は、客商売のお店の新装開店時に贈るのが一番です。何と言ってもその豪華さで、お店の開業を近隣の方々に強くアピールすることができます。

花束

花束は、お相手の好きな色で選んだり、喜んでもらえそうな香りで選んだりと、自由度が高いです。もらう側としても、綺麗な花をもらっただけでなく、数ある花の中から自分のために選んでくれたという行為に感謝するでしょう。

アレンジメント

アレンジメントは花束とは違い、籠などの容器の中に入れた吸水性スポンジに、花を挿して飾ったものです。
プレゼントをもらった方は、それをすぐに飾ることができます。相手の方に手間暇をかけないプレゼントですね。

鉢植え

鉢植えの草花や木は土に値が張っておりますので、「お客が根付く」という縁起物と言えます。また、花束やアレンジメントは時期が来れば枯れてしまいますが、鉢植えであれば、長い間「育てる」という楽しみもあります。

プリザーブドフラワー

水やりなどの世話が不要です。かつ、美しい状態が長持ちするので、大変喜ばれます。
その製法から、花粉の心配は一切不要。虫が寄り付く心配もありません。
また、ガラスケース入りなど、多様なアレンジ仕立てにすることができる優れものです。

開業祝いの「熨斗(のし)」「立札」の書き方

開業祝いの「熨斗(のし)」「立札」の書き方

「熨斗(のし)」とは、熨斗紙の右上の飾りの部分のことを言います。元々は、熨斗の部分には「鮑」が使われていました。
熨斗紙の中央にある紐を、水引きといいます。水引きの上の部分を表書きといって、ここに「開店祝い」などの言葉を入れます。
水引きの下の部分は「名入れ」と言って、送り主の名前を入れます。

立札は、お花に立てられる札であり、お祝いの文言、送り先名、贈り主名で構成されます。
お礼の文言の例としては、「祝開業」「祝御開店」「祝オープン」「開店祝い」などが使われます。

開業祝いの花にはメッセージを添えよう

開業祝いの花にはメッセージを添えよう

開業祝を贈られる方は、せっかくですからお祝いの品にメッセージを添えてはいかがでしょうか。
メッセージは熨斗や立て札と違って、オリジナルの文言を入れることができます。

良いメッセージがすぐには浮かばないという方もいらっしゃるでしょう。
以下に、開業祝のメッセージの一例をご紹介します。

  • ご開店、おめでとうございます。今後のご発展をお祈りしております。
  • ご開業、おめでとうございます。御社の益々のご繁栄をお祈り申し上げます。
  • 新装開店、おめでとうございます。商売繁盛を心よりお祈りいたします。
  • 事務所移転、おめでとうございます。益々のご盛栄を祈念しております。

開業祝いにもマナーとタブーがある

開業祝いにもマナーとタブーがある

開業祝は、あくまでも送り手の気持ちを届けるものですので、何が正解で何が間違いというものは基本的にはありません。
しかしながら、もらう側の立場としては、もらって嬉しいものとそうでもないものがあることも事実です。
最低限のマナーとは、もらう側がもらって心から喜び、もらったことによる精神的、あるいは物理的な負担にならないものを贈るということです。

例えば、オフィスなど会社のお祝いに観葉植物や胡蝶蘭を贈った場合、その後の世話が簡単なことでたいへん喜んでもらえます。一方、飲食店などお客様商売の開店祝いには、人の目を引くスタンド花の方が喜ばれるといった具合です。

タブーもあります。
例えば火(=火事)を連想させてしまうものです。ライターやキャンドル、灰皿や真っ赤な花束などです。
さらに、スリッパやサンダル、玄関マットなどの履物や敷物は、「踏みつけるもの」としてタブー視されています。
また、気の効いたお洒落な壁時計や美しい絵画などが喜んでもらえると思いがちですが、実はこれらは壁に穴をあけないと飾れないもの。これをタブーとする向きもあります。

開業祝いにも「お返し」をする?

開業祝いにも「お返し」をする?

社会一般的にご祝儀に対して「お返し」があるように、開業祝いにもお返しはあります。
たいていは、贈ったお祝いの半額程度のギフトや記念品などがお返しとして選ばれます。

ギフトとしてはお菓子の詰め合わせや地域の特産物、あるいは会社のノベルティー商品などです。
返礼の品物と共に、お礼の気持ちが伝わる「ご挨拶状」「お礼状」なども添えることがあります。

まとめ

新規開業の日を迎える、大切な人への贈り物。それには大きな意義があります。

せっかく心を込めて贈るお祝いなのですから、タブーを避け、マナーを守り、送り先の方が最高の喜びを得るようなものにしたいですね。

数々のポイントを列挙しましたが、基本的なポイントは極めてシンプルです。

・贈りたいものではなく、贈られて喜ばれるものを熟慮して選ぶ
・お相手の環境や立場になって贈り物を考える
・開業祝いに胡蝶蘭などの花は喜ばれやすい

開業という大事なシーンを、もらう方と一緒になって喜び、楽しめますことをお祈りします。