コラム

2022/06/30

敬老の日の意味や由来は?長寿を祝う伝統の祝日

9月の第3月曜日は「敬老の日」。国民の祝日です。文字通り、お年寄りを敬う日ですが、この日にまつわるさまざま、たとえばその由来や、よく似た「老人の日」との違いなど、どこまでご存知でしょうか?

この記事では、カレンダーを見ているだけでは分からない、敬老の日に関するさまざまな意味や知識を解説します。

また、実際に敬老の日におじいちゃん・おばあちゃんをお祝いする際におすすめの、お花を贈り、家族で過ごす一日についてご案内します。

敬老の日について詳しく知りたい人や、お祝いはどのようにすればよいか迷っている方はぜひ参考にしてください。「敬老の日」とはなんであるかを知り、大切な人をお祝いしましょう。

敬老の日の由来について ルーツは聖徳太子の福祉事業

敬老の日の由来について ルーツは聖徳太子の福祉事業

敬老の日の由来とされているできごとはいくつかありますが、最も古い聖徳太子の福祉事業のお話から始めます。

聖徳太子の「悲田院」建立

594年頃、聖徳太子は摂津国(現在の大阪府)に四天王寺を建立し、併せて仏教の慈悲の思想に基づき「悲田院」を設立しました。悲田院は貧しい人や孤児、老人たちを救うための、いわば福祉施設です。
「悲田院」の開かれた日は「9月15日」であったともいわれ、かつて敬老の日が「9月15日」に定められていた理由の一つとされています。

元正天皇の「養老の滝」行幸

聖徳太子の伝承と並び、敬老の日の由来とされているのが元正天皇の「養老の滝」行幸の逸話です。
元正天皇は「万病を癒す薬の滝」「老を養う若返りの水」があるという美濃国(現在の岐阜県)に行幸しました。そこに伝わるのは、親思いの息子が老いた父親にお酒を飲ませたいと祈ったところ、滝の近くの泉から美酒が湧いたという「養老の滝」伝説です。心を動かされた元正天皇は元号を「養老」に改元したのです。
元正天皇が美濃に行幸したのは717年の「9月15日」とされています。

兵庫県多可町の「としよりの日」

聖徳太子や元正天皇の伝承を背景に、現在の敬老の日の直系のルーツとなったのが、兵庫県のある村に始まった一つの地方行事です。

終戦直後の1947年、兵庫県の野間谷村(現在の多可町)で「としよりの日(敬老会)」が始まりました。これは当時の村長が「老人を大切にし、その知恵を借りる」ことが村づくりにつながるとして発案した独自の行事で、毎年「9月15日」に行われました。
「としよりの日」はやがては兵庫県全域、さらには全国へと広がり、1966年に「敬老の日」の名で国民の祝日にまで発展したのです。

敬老の日の意味は? 老人を敬愛し長寿を祝う

敬老の日の意味は? 老人を敬愛し長寿を祝う

法令に定められた敬老の日の意味を始め、さまざまな角度から敬老の日を掘り下げてみましょう。

法令上の「敬老の日」

敬老の日は、祝日法(国民の祝日に関する法律)によって、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」祝日と定められています。
「多年にわたり社会につくしてきた」かどうか、これに明確な基準はありません。長く人生を歩まれてきたシニア世代には等しく敬愛の念を抱き、その長寿を祝うべきでしょう。

敬老の日が9月の第3月曜日になった理由

敬老の日は2002年までは「9月15日」でした。しかし、祝日法の改正に伴う「ハッピーマンデー制」の導入によって、2003年から「9月の第3月曜日」に変更されました。
「ハッピーマンデー制」とは、祝日の一部を月曜日に移動させることによって、土曜日・日曜日と合わせて3連休になる制度です。この適用により、敬老の日は現行の「9月の第3月曜日」となったのです。

現在「9月15日」は、老人の日とされています。

「敬老の日」と「老人の日」との違い

「敬老の日」と「老人の日」、似たような印象を持たれるかもしれませんが、その趣旨は異なっています。

敬老の日が「多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」と定められているのに対して、老人の日は「老人が自らの生活の向上に努める意欲を促す」日とされています。老人の日は、お年寄り自らがさらに力強く歩みを進めるべく意識づけをしようというもので、いわゆる長寿のお祝いとは違います。

老人の日は老人福祉法により定められた日です。敬老の日と違い、国民の祝日にはなっていません。

海外にもある「敬老の日」

海外にも「敬老の日」があることをご存知でしょうか?

アメリカでは、9月の第2日曜日が「祖父母の日」とされ、孫から祖父母へ花やグリーティングカードを贈る習慣があります。

イタリアでは10月2日が「祖父母の日」です。行政の主催するイベントが行われますが、贈り物をする習慣はないようです。

ポーランドでは1月21日が「祖母の日」、1月22日が「祖父の日」です。家族で食事をしたり、メッセージカードを贈ったりします。

中国では重用の節句に当たる9月9日が「高齢者の日」、韓国では10月2日が「老人の日」となっています。

敬老の日は何歳からお祝いするの? タイミングをつかもう

敬老の日は何歳からお祝いするの? タイミングをつかもう

敬老の日のお祝いには決まった年齢があるのでしょうか?
お祝いに適した年齢のタイミングはあるのでしょうか?

そもそも「高齢者」って何歳から?

日本では老人福祉法によって、「65歳以上」が高齢者と明文化されています。また、国連の専門機関である世界保健機関(WHO)でも「65歳以上」を高齢者と定義しています。

しかしこの規定によって、敬老の日に祝うべき年齢が「65歳」以上に限定されるわけではありません。

対象となる年齢に決まりはない

敬老の日について法的に定めている祝日法の中にも、その対象となる年齢についての定めはありません。

敬老の日をお祝いする年齢に、決まりはないのです。
いつから敬老の日でお祝いするか、それは私たちの自由です。

だからといって、30代・40代の方を敬老の日で祝うことは、常識的にはありません。
年寄り扱いにならないようにお祝いするタイミングは、どのようにつかめばよいのでしょうか。

敬老の日をお祝いするタイミング

実践されたご家族も多いのが、最初のお孫さんがができたタイミングです。
孫ができれば「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばれるも多くなり、祖父母の立場になったことが自覚されます。敬老の日には、お祝いされる側になったのだと自然に受け入れられるでしょう。

もう一つは、還暦、古希など長寿祝いの節目の合せて敬老の日をお祝いすることです。
還暦は60歳、古希は70歳などと年齢が決まっていますので、その年にお祝いするのは自然です。以降、敬老の日を毎年お祝いしても押し付け感はないでしょう。

敬老の日は花を贈るのがおすすめ!家族と過ごして思い出を作ろう

敬老の日は花を贈るのがおすすめ!家族と過ごして思い出を作ろう

敬老の日は、大切な一日を家族一緒に過ごしてみてはいかがでしょうか。

家族旅行へ行ったり食事会を開いたり、自宅でゆっくりお祝いの会を催したり、たくさんの思い出が作れます。家族みんなで過ごす穏やかな時間は、なによりのプレゼントです。

おじいちゃん・おばあちゃんには、尊敬と感謝のメッセージを添えて、お花を贈りましょう。

生花は花束にして手渡し、おじいちゃん・おばあちゃんに花言葉を教えてあげましょう。
インテリアとしての実用性も高いアレンジメントやプリザーブドフラワー、ハーバリウムなどのスタイルでお花を贈るのも喜ばれます。

敬老の日 プレゼント探しはネット通販が便利

敬老の日 プレゼント探しはネット通販が便利

敬老の日のプレゼントを探すなら、ネット通販の活用がおすすめです。
通販サイトの豊富な商品の中から、おじいちゃん・おばあちゃんにぴったりの品を探すことができて便利です。敬老の日の特集を組んでいるサイトも多くあります。

長年がんばってこられた年長者を敬い、感謝を伝える「敬老の日」。その由来には、聖徳太子や元正天皇の逸話、また兵庫県多可町の地方行事が発祥であることも解説しました。

海外にもよく似た行事があることと合わせ、初めて知った方も少なくないと思います。敬老の日の当日には、その日にまつわる雑学として、おじいちゃん・おばあちゃんにお話しされるのも楽しいと思います。

できれば敬老の日には、花にメッセージを添えて贈り、家族一緒に過ごしましょう。
おじいちゃん・おばあちゃんは子どもや孫の健やかな成長の姿を、私たちは祖父母の心穏やかな様子を、それぞれ確認しあう日。それが敬老の日の本当の意味だと思います。