コラム

2022/07/07

満月ではないことも?十五夜と中秋の名月の違いについて解説

古来から日本には月を愛でる風習があり、月の美しさを表現した文学や絵画の作品も少なくありません。

特に秋の十五夜や中秋の名月は別格で、最も美しい月を眺められる行事として受け継がれてきました。

しかし「十五夜と中秋の名月ってどう違うの?」「満月でもない年があるの?」など、実は知らないことも多いのではないでしょうか。

十五夜と中秋の名月を同じだと思っている人もいるかもしれませんが、厳密に言うと異なります。

また、秋が最もお月見に適している理由や、お月見の夜をより素敵な雰囲気で迎えられるフラワーアレンジメントのポイントもあわせて紹介します。

今年はススキとお団子だけでなく、綺麗なお花も添えて一夜を過ごしてみませんか?

十五夜は毎月ある?中秋の名月との違い

十五夜は毎月ある?中秋の名月との違い

月の風習はもともと中国に由来し、日本には平安の頃に伝わり貴族の行事となりました。庶民にも普及したのは江戸時代以降です。

中秋の名月を「十五夜の月」と呼ぶことはよくありますが、十五夜とは、正しくは旧暦で毎月15日の夜を指しています。
そのため、毎月15日の夜は十五夜であって、季節に関係なく十五夜は年に12回やってくるものです。

一方、中秋の名月とは1年に1回のみ。
旧暦8月15日の夜に見える月のことを表しています。

新暦では9月や10月が秋というイメージですが、旧暦では7〜9月が秋とされていました。
8月は秋の真ん中なので中秋と呼ばれ、中秋の真ん中である15日を中秋の名月と呼んでいるのです。

中秋の名月には、月見団子や里芋をお供えし、ススキを飾ります。

中秋の名月でも十五夜でも「秋の月」がきれいな理由

中秋の名月でも十五夜でも「秋の月」がきれいな理由

日本では特に秋の月が最もきれいだと言われますが、その理由は日本独特の気候が関係しています。

湿度が高いと、大気がぼけて景色も霞んで見えることがあります。
秋になると空気中の水蒸気量は少なくなります。つまり、湿度が下がり空気が澄むようになるのです。

また、秋は月の通り道が冬ほど高くなく、夏ほど低くありません。
夏のように月が低いところを通ると、大気中のちりや明かりで月がぼやけて見えることがありますが、秋はすっきりと月を見ることができます。

日本の秋は、月を眺めるのに最適な乾燥と月の高さという、良い条件がそろった季節なのです。

2022年の十五夜は満月?中秋の名月が毎年変わるわけ

2022年の十五夜は満月?中秋の名月が毎年変わるわけ

近年で、十五夜と満月が重なったのは2011年、2012年、2013年です。

2022年9月10日が満月で、2023年は9月29日となります。

このように、十五夜と中秋の名月はいつも満月が見られるわけではありません。

その理由は旧暦と新暦の違いにあります。

旧暦と新暦

新暦とは明治6年から使われているグレゴリオ暦と呼ばれるもので、地球が太陽を1週する期間を1年としたものです。
太陽との位置をもとにしているので、季節とのズレがありません。
旧暦は明治5年まで使われていたもので、月が地球を1週する期間を1カ月としたとした暦です。
月との位置がもとになり、季節とズレるため閏月が設けられて季節との調整が行われていました。

月の満ち欠けは季節によっておよそ13.9日だったり15.6日だったりと、周期そのものが一定ではありません。

そのため毎年、満月になる日がズレており十五夜や中秋の名月と満月が重なるわけではないのです。

十三夜との関係

十五夜や中秋の名月のほか、十三夜もお月見に適しているといわれています。

時期は、中秋の名月である十五夜からおよそ1カ月後です。

かつては中秋の名月と十三夜、どちらもお月見をするのが大切な秋の行事とされていました。
どちらか片方だけお月見をした場合は「片月見」と呼ばれ、縁起がよくないとされていたそう。

また、十五夜と十三夜に、収穫を感謝する旧暦10月10日の十日夜(とおかんや)を含め「三月見」と呼ぶこともあります。

今年は十五夜と十三夜どちらも月を眺めて、月光浴でリフレッシュしてみてはいかがでしょう?

風流な十五夜を過ごすなら中秋の名月の時期に訪れたい名所

風流な十五夜を過ごすなら中秋の名月の時期に訪れたい名所

日本にはたくさんの神社がありますが、その中に月を司る神様をお祀りしている神社があります。

御祭神の名前は「月読命(つくよみのみこと)」で、日本神話に登場する太陽の神様「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」の弟にあたります。

農業や漁業に大切な暦や季節の変化を知らせてくれる月の神様なので、古くから第一次産業に従事する人々が信仰してきました。

夜の神社は足を踏み入れてはいけないとされるので、境内でのお月見はできませんが、十五夜の日に月読命を祀っている神社を参拝すると、より月が美しく感じられるかもしれません。

月読命を祭神とする神社は関東地方を中心に全国にあります。

十五夜に中秋の名月と楽しむ秋のフラワーアレンジメント例

十五夜に中秋の名月と楽しむ秋のフラワーアレンジメント例

名月には、一輪挿しでも良いので季節の花を添えたいものです。
好きなお花を楽しむだけでなく、旬のお花をアレンジメントしてもらってお部屋に飾ると、より季節を楽しむ気持が高まります。

秋のフラワーアレンジメントでは、やはりお月見をイメージしてススキを入れてあるスタイルが定番です。
丸いボールのように花を咲かせるピンポンマムを満月に見立てていたり、秋の夜を濃い紫のリンドウに見立てたりと、愛らしい黄色のお花にシックなカラーを組み合わせてあるものも多くあります。

山の向こうから月が出るイメージで、低い位置に緑を多く配分するのも特徴です。

中秋の名月が必ず晴れるわけではありません。
晴れたなら満月もお団子もお花も楽しんで、曇りや雨の夜でもお月見デザインのフラワーアレンジメントでお月見気分を楽しめますよ。

中秋の名月や十五夜を彩る季節に合わせたお花のサブスク

中秋の名月や十五夜を彩る季節に合わせたお花のサブスク

近年はさまざまなサービスでサブスクが利用できますが、お花もサブスクで購入できるようになってきました。

サブスクとは「サブスクリプション」の略語で、お花の場合では月額料金でお花を定期配達してくれるサービスです。

ここ数年、コロナの影響でおうち時間を充実させる動きが加速し、特別な日でなくとも自宅にお花を飾りたいという人が増えました。

そんな、お花のある暮らしでちょっとした癒しや楽しみを感じたい人向けにお花のサブスクがスタートし、人気となっているのです。

お花のサブスクは季節に合わせて、旬のお花を毎月お届けしてくれます。

仕事帰りには花屋さんが閉まっている、忙しくて花屋さんに行く時間がとれない人も、お花のサブスクなら季節を味わう余裕も生まれやすくなりますよ。

まとめ

この記事では、古くから日本人が愛してきた十五夜と中秋の名月について紹介しました。

毎月やってくる十五夜と1年に1回だけの中秋の名月は、きれいな月を眺めて穏やかな時間を過ごしてみてください。

日々の忙しさや喧騒で感じているストレスを、ゆっくり解きほぐす機会になるかもしれません。

きれいなお月見とフラワーアレンジメント、どちらも楽しみながらお団子も美味しくいただきましょう。