プリザーブドフラワーを手作りで楽しむ方が増えています。
実践するには高度な技術や鍛錬が必要なのでは?と思われる方も少なくないでしょう。でもご安心を。プリザーブドフラワー作りは、基本的な知識や手順を覚えてしまえば、それほど難しくはありません。
この記事では、自宅でプリザーブドフラワー作りに挑戦する際の、必要な準備や、作業の流れ、プリザーブドフラワーを長持ちさせるための注意点などを解説します。
また、完成したプリザーブドフラワーのアレンジについてもご案内します。アレンジの楽しみが待っていると、手作りにもより意欲が湧きますよね。
まずは、プリザーブドフラワーとはどのようなものなのか、そこから見ていきましょう。
プリザーブドフラワーとは? 鮮やかな色をずっと楽しめる花
「プリザーブドフラワー」は、日本語にすると「保存された花」という意味のある英語です。生花が一番きれいな時に保存処理を施すことによって、長くその美しさを楽しむことができる加工花です。
プリザーブドフラワーは、花の色素を抜いて染色をするため、自然界にないような色合いを楽しむことができます。花を自分好みの色に染め上げるおもしろさは、プリザーブドフラワー作り以外ではなかなか体験できません。
プリザーブドフラワーを作る準備 成功への第一歩!
最初のステップは、プリザーブドフラワーを作る準備です。
もちろん素材となる生花(花材)は必須ですが。それ以外に必要な道具を6点と、加工用の材料を10点ご紹介します。
【使う道具】
- ハサミ
- ピンセット
- ゴム手袋(ポリ手袋でもOK)
- アルミホイル
- 新聞紙
- 蓋がついた容器(しっかりと密閉できるもの)
- トレーと網(乾燥させる際に使用)
【加工用の材料】
- 空き瓶
- 花器(S・M・L サイズなどお好みで)
- 透明の花器(ガラス製)
- 乾燥台
- 乾燥剤
- 消毒用エタノール
- インク
- フレーム
- 精製グリセリン
- フローラルフォーム
プリザーブドフラワーに必要な材料をそろえるには
花屋で購入する
花屋を利用するメリットは、実際の生花を見て状態を確かめながら購入できることです。
プリザーブドフラワーの難易度は、手作りに向いている花の種類や状態の見極めによって大きく変わってきます。
花びらが大きすぎる花材は作業がしづらく、プリザーブドフラワーにはふさわしくありません。このページでも後半でご紹介するように、花の種類にも向いているものと向いていないものがあるのです。
また、花は肉厚で張りがあり、満開ではなく6〜7分咲きの方が鮮度が良いとされ、ブリザーブドフラワーには向いています。
花屋の店頭ならば、花材の良し悪しを一つ一つ吟味することができますし、分かりにくい時はプロである店員さんに直ぐに質問することができます。
但し、道具類や加工用の材料などは、生花の販売が専門である花屋には置かれていない場合があります。
通販で揃える
通信販売、特にネット通販では、種類も色も豊富な商品の中から目的の花材を探すことができます。たくさんの花を見比べることで、作品のイマジネーションも広がることでしょう。
道具類や加工用の材料も、ネット通販を利用すればすべて手に入ります。
通販サイトには、プリザーブドフラワー作りに関するさまざまなアドバイス情報も公開されていますので、迷うことなく必要なものを揃えることができるでしょう。便利なセット商品やキット商品も、ネット通販なら自分に合ったものを見つけることができるでしょう。
プリザーブドフラワーを作ってみよう!
準備ができれば、後は実践あるのみです。
もし失敗しても、失敗したポイントに的を絞って改善するだけで、上達するスピードも段違いに上がります。準備ができたらまずは1度作ってみましょう。
水あげ・水やり
「水あげ・水やり」は、花材に一度しっかりと水を吸わせておくことで、元気でイキイキとした花にする作業です。元気のない花は、後の工程で保存料や染色料を十分に吸い上げることができませんので、採取して時間が経っている場合などは必須の作業となります。
やり方は、茎を2から3センチほど残して斜めにカットし、水に挿すだけです。使用するハサミは切れ味の良い園芸用のものがおすすめ。一般的な文具のハサミでは茎が潰れてしまい、水の吸い上げが悪くなってしまいます。
脱水・脱色
水を充分に吸い上げた花を、今度は脱水します。
ピンセットを使用して花全体をエタノールに浸けることで水分が抜け、脱色作用のあるエタノールが吸われていきます。花全体がしっかりとエタノールに浸かっているかを確認、密閉して、色が抜けるまで数日放置してください。
染色(着色)
色がしっかりと抜けたのが確認できたら、染色の作業に移ります。
グリセリンと水を2対1の割合で混ぜ、好みの色のインクを垂らせば染色液になります。濃くなりすぎないように、数滴ごとに色みを確認しながら作ります。
ピンセットを使い、染色液に花を沈めます。ポイントは、焦らずに時間をかけてやることです。花全体にしっかりと色をなじませるようなイメージで、色ムラが出ないように少し揺らしたりゆっくり動かしてみたりしましょう。
直射日光の当たらない場所に置いておけば、約1日で綺麗に色が着きます。
乾燥
花に色が着いたら液から引き上げ、トレーと網の上に乗せ、直射日光の当たらない風通しの良い場所で自然乾燥させます。
複数の花で作った場合は、花同士がくっつかないように注意してください。
ドライヤーを使って乾燥させることもできますが、破損やひび割れのリスクがあることを心得ておいてください。温度や風量の調節は必須です。
プリザーブドフラワー作りの注意点
プリザーブドフラワーを作る際、優先すべき注意事項は、プリザーブドフラワーに向いている花を選ぶこと、状態の良い花材を使うことの2点です。
プリザーブドフラワーに向く花と向かない花がある
プリザーブドフラワーに向いている花と、そうでない花があります。
一例をあげておきます。
【向いている花】
- ガーベラ
- カーネーション
- ひまわり
- アジサイ
- バラ
【向いていない花】
- ゆり
- コスモス
- ハイビスカス
- さくら
- スイートピー
花びらが散りやすい花、花びらが大きい花は、手作りのプリザーブドフラワーには向いていません。
プリザーブドフラワー作りが初めての方におすすめなのは、小さめのバラです。
状態の良い花を使う
新鮮で元気な花ほど、水の吸水力が高いことはすでに述べました。エタノールの吸い上げは脱色の程度に、染色液の吸い上げは発色の良し悪しに直結しますので、花材の吸水力はプリザーブドフラワーの完成度を大きく左右するポイントとなるのです。
花材の状態は、手作りプリザーブドフラワーの完成度に大きく関わると心得ておきましょう。
プリザーブドフラワーを長持ちさせるには
プリザーブドフラワーは、直射日光、湿気、高温に弱い性質をもっています。
それぞれ説明していきます。
直射日光を避ける
プリザーブドフラワーは直射日光を受けると、色あせしやすく、ひび割れを起こすこともあります。
問題は紫外線です。
日光に直射されなくても、反射物などで軌道が変わり、紫外線を受けるケースがあります。それも踏まえて、完成したプリザーブドフラワーはできるだけ紫外線の影響を受けにくいところに置きましょう。
高温多湿を避ける
プリザーブドフラワーは多湿を嫌いますので、生花のように水やりはしません。
湿度が50%を超えると、花から染料がにじみだしてしまうことがあります。多湿はカビが発生する要因にもなります。
また、湿度が20%以下になると、ひび割れを起こしやすくなりますので、湿度20%以上・50%未満、気温については20℃前後を目安に、プリザーブドフラワーを置く環境を整えてください。
痛んだら直ぐに処置を
プリザーブドフラワーは、基本的にはケースに入れて保存し、ほこりや風から守ります。
湿度の影響で色あせやにじみ出てしまった場合は、すぐに乾燥剤を入れて数日間密閉してください。再乾燥によって劣化は遅くなり、色みが元に戻ることもあります。
プリザーブドフラワーは作り方次第でアレンジできる
ガーランドやハーバリウム、リースなどさまざまなアレンジを楽しむことができるのも、プリザーブドフラワーの魅力です。
特にハーバリウムは、元々植物の状態を長期保存する方法として生まれた手法であり、プリザーブドフラワーとは相性が良いアレンジです。
手作りしたプリザーブドフラワーは、いろいろなアレンジにも挑戦してみることで、楽しみの幅がぐっと広がります。
まとめ
プリザーブドフラワーの手作りは、それほど難しくないことがお分かりいただけたでしょうか。準備するのは揃えやすいものばかりですし、工程はさほど多くはありません。
花材の選択や、花の状態に留意すれば、初心者でも大きな失敗はないでしょう。思い通りの色合いにならないこともありますが、改善点を検証しながらコツをつかんで行きましょう。そのステップの一つ一つが、プリザーブドフラワーの楽しみでもあります。
完成したプリザーブドフラワーは、アレンジも楽しんでみてください。
そして、思い通りのプリザーブドフラワーができたら、大切な人へプレゼントされてはいかがでしょうか。