お花をおしゃれに飾り付けたフラワーアレンジメント。見ているだけで華やかな気分にさせてくれますが、お花が好きな方なら、自分でも作ってみたいと感じるかもしれません。
フラワーアレンジメントを作るのは、どなたでも挑戦できます。ただ、美しくまとめるにはちょっとしたコツが必要です。
はじめから上手くいかないかもしれませんが、ある程度は納得できるアレンジメントを作りたいというのが正直なところでしょう。
そこで本記事では、フラワーアレンジメントの作り方の基本だけでなく、おしゃれに仕上げるポイントも解説します。「基本的な作り方の手順が知りたい!」「どうせ作るならキレイに仕上げたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
フラワーアレンジメントとは?生け花との違いも
フラワーアレンジメントとは、水を含んだスポンジに花や葉、枝を挿してアレンジしたものです。
細かな点もこだわって作られたアレンジメントが一つあるだけで、お部屋がぱっと華やかになります。また、花瓶を用意することなく飾れるため、記念日や誕生日のプレゼントに非常に人気です。
フラワーアレンジメントでは、複数の種類の花を円形や三角形、ひし形などの形を作るように活けていくため、たくさんのお花を使用し、一輪一輪の高さや角度、お花の配分まで調整します。
フラワーアレンジメントと混同しやすいものに「生け花」がありますが、この2つは別物です。花を活けていく点やインテリアとして活用する点は共通していますが、フラワーアレンジメントと生け花では重視するポイントが異なります。
生け花が重視するのは、花と空間の芸術性です。生け花は日本の伝統文化としてのバックグラウンドがあり、ほんの数種類の花や草木で、空間美や自然美を追求します。
一方フラワーアレンジメントは西洋で誕生した飾り方で、型通りのデザイン性重視。生け花よりもたくさんの種類の花をたっぷりと使って、空間を埋めるようにデザインします。
ここまでご説明したように、フラワーアレンジメントの特徴は、たくさんの花を使って作る華やかさです。そんなフラワーアレンジメントを自作できるようになれば、ご自宅のインテリアとして飾ったり、大切な人へのプレゼントとして贈ったりすることができ、日常に特別感をプラスできるようになりますよ。
フラワーアレンジメント作りの準備に必要なもの
フラワーアレンジメントを始めるために必要なものをご説明します。
アレンジメントに必要なものと言われてパッと思い浮かぶのは、ハサミやお花、お花を入れる器だと思いますが、実は他にもいろんなものが必要です。何が必要かを知って、準備を進めていきましょう。
花
フラワーアレンジメントを始めるには、まずはお花を準備しましょう。ただし、どんなお花を選ぶかによって最終的な仕上がりが変わってきます。
そこで、「主役と引き立て役を決めておく」、「色のバランスを意識する」という2点を意識して選びましょう。
「主役と引き立て役を決めておく」とは、一番目立たせる主役のお花と、その花を引き立てるサブのお花を決めるということ。
お花を選んでいると、ついつい大きくて可愛らしい花ばかり選んでしまいがちです。しかし、目立つ花ばかりでアレンジメントを作ると、どれもが主張してしまい、まとまりのない仕上がりになります。
そのため、どれがメインでどれが引き立て役かを考えながら選びましょう。メインには、一番自分が飾りたいお花を選びます。そのうえで、引き立て役となるお花はメインのお花よりも少し小さめで形や質感が異なるものを選ぶとよいでしょう。
ちなみに、主役としてよく使われるのは「一輪咲きのカーネーション」や「花が大きめのバラ」、「ユリ」などの大きめの花です。引き立て役によく使われるのは「スプレーカーネーション」や「スプレーバラ」、「スプレー菊」。引き立て役の中でも、お花とお花のスキマを埋める用途では「カスミソウ」や「スターチス」、「ソリダゴ」がよく使われます。
「色のバランスを意識する」とは、相性の良い色の組み合わせを重視してお花を選ぶということです。
例えば、白とピンクの組み合わせのような同系色や、黄色と紫の組み合わせのような反対色を意識して選ぶとバランスが良くなります。また、お花選びでは色の明るさや鮮やかさのバランスに注意することで、まとまりの良い仕上がりになります。
花選びに自信がない初心者の方は、まず同系色で統一することや、どの色の花ともある白色を加えることがおすすめです。お花屋さんにアドバイスを求めてみるのも良いでしょう。
グリーン
グリーンとは、お花を引き立てる枝や葉のこと。
お花と比べると地味なグリーンですが、アレンジメントの高さや奥行きを出したり、アレンジメントを引き締めたりする役割があります。グリーンは、フラワーアレンジメントに立体感を出すためには不可欠で、縁の下の力持ちのような存在。
そんなグリーンを選ぶときに意識したいのが「お花との相性」と作る「アレンジメントの形」です。
相性を確認するには、メインやサブのお花とグリーンをあわせてみて、質感や大きさのバランスが崩れていないかをチェックしてください。
でも初心者の方は、相性が良いのか悪いのかよく分からないと感じるかもしれません。シャープなアレンジメントを作成するときは、「ニューサイラン」や枝もののような線を表現できるものを使用するとよいでしょう。他には、定番の「レザーファン」や「ルスカス」、「ユーカリ」、「レモンリーフ」を使ってみて下さい。
花器
花器とは、アレンジメントを入れる器のこと。アレンジメントの印象は、どんな花器を使うかによっても変わってきます。そこで、花器を選ぶときは「大きさ」と「素材」を意識して選んでみてください。
花器の大きさは「高さ20cm、直径15cm」を目安にしましょう。この大きさは、初心者が使うには一番使いやすいサイズです。
花器の素材には大きく分けて3つの種類があります。それぞれの特徴は次の通りです。
- 陶器:高級感のある見た目、エレガントな雰囲気
- ガラス:スタイリッシュな見た目、涼し気な雰囲気
- 自然素材のかご:カジュアルな見た目、親しみやすい雰囲気
花器の素材によって雰囲気が変わってくるので、作りたいデザインに合わせて選びましょう。迷ってしまう場合は、定番の陶器を選んでみてください。陶器の中でも白または黒っぽい色でシンプルなデザインのものなら、どんなものとも相性がよく使いやすいですよ。
花材用のハサミ
フラワーアレンジメントを始めるなら、花材用のハサミも必要です。お花の茎を切るときや不要な葉を取り除くときに使用します。
一見すると花材用のハサミは、普通のハサミと同じように見えるかもしれません。
しかし、切れ味がまったく違います。普通のハサミは、お花の茎を切るときに茎を潰してしまうことがありますが、花材用のハサミならスパッと切れるのでお花を傷めにくいのが特徴です。
ホームセンターや通販サイトで、「切り花用」もしくは「フラワーアレンジメント用」と書かれたハサミを探してみてください。
吸水スポンジ(オアシス)
吸水スポンジとは、お花を挿していくスポンジのことで、「オアシス」とも呼ばれます。普通のスポンジよりも吸水性や保水性に優れている吸水スポンジは、お花にしっかりと水を届けてくれます。
吸水スポンジを購入するときは、商品パッケージに記載されている用途をしっかり確認しましょう。こぼした飲み物や結露した窓ガラスに使う吸水スポンジもあるからです。フラワーアレンジメントに使えるものは、パッケージに「生花用」と書かれているので、忘れずに確認してください。
お花用の吸水スポンジにも種類があり、保水性やスポンジの硬さなどが異なります。まずは定番のものから試して、制作するアレンジメントによって使い分けていくと良いでしょう。
セロハン
フラワーアレンジメントでは、花器の中に水を吸わせた吸水スポンジを入れます。陶器やガラスの花器なら問題ありませんが、自然素材のカゴのようなすき間がある花器を使う場合は、スポンジの水が花器から漏れてしまいます。
そんなときに使用するのがセロハンです。
花器と吸水スポンジの間に、透明なシートであるセロハンを敷くことで水漏れを防ぎます。セロハンを持っていなくてもフラワーアレンジメントは作れますが、水が漏れる花器を使う予定のある方は購入しておきましょう!
ワイヤー
ワイヤーとは、アレンジをサポートしてくれる針金のことです。
例えば、お花の茎を補強したいときや、茎を思い通りの方向に曲げたいときに活躍してくれます。
ただ、アレンジメントはワイヤーがなくても可能ですし、ワイヤーは使いこなすのが難しいので、初心者の方は無理にワイヤーを使わなくても良いでしょう。また、ワイヤーは種類が豊富なので、選ぶ作業も簡単ではありません。
そのため、初めはワイヤーなしで始めてみるのがおすすめです。
フローラルテープ
フローラルテープとは、お花専用のテープです。吸水スポンジを花器に固定したいときや、ワイヤーを目立たないようにしたいときに使用します。
フローラルテープには、お花に使うのにちょうど良いやわらかさや伸縮性があります。他のテープでは代用できないので、これからフラワーアレンジメントを始めるなら、買っておいて損はないでしょう。
購入されるなら、色がグリーンで幅が12mm〜13mmのテープがおすすめです。一番定番なテープなので、持っていると何かと便利ですよ。
その他に必要なもの
「ボウル」や「ブリックカッター」もフラワーアレンジメントで使用する道具です。ただしどちらもご家庭にあるもので代用可能なので、下の使用用途を読みながら、購入する必要があるか判断してください。
ボウルは、お花の茎を切るときや吸水スポンジに水を吸わせるときに使います。
深さが足りないと、吸水スポンジが十分に水に浸らないことがあるので、深めのボウルがおすすめです。ただ、水を入れるだけなので、料理で使っているボウルやバケツでも代用できます。
ブリックカッターとは、吸水スポンジ専用のカッターです。吸水スポンジは毎回花器に合わせてカットして使います。ブリックカッターはそのときに使う道具ですが、普通のカッターナイフで代用しても大丈夫です。
フラワーアレンジメントを作る前の下準備
必要なものがそろったら、フラワーアレンジメントを作る下準備に取り掛かりましょう。お花の下準備と吸水スポンジの準備があるので、それぞれご説明していきます。
お花の茎を水中で切る(水切り)
せっかくアレンジメントを作っても、お花がすぐに枯れてしまっては残念ですよね。そこで、お花の茎を水中で切る「水切り」という作業を行い、お花が水を吸い上げやすいようにします。水切りの具体的な手順は次の通りです。
- 水を入れたボウルを用意する
- お花の茎をボウルの中に浸す
- 斜めに角度をつけて水中で茎を切る
お花は「導管」という管から水を吸っており、水平に切るよりも斜めから切ることで、導管が水に接する面積が増えます。そのため斜めに角度をつけることは重要です。
また、わざわざ水の中に浸して切ることにも理由があります。空気中で茎を切ると、茎に空気が入ってしまい、水を吸いにくくなってしまうからです。
お花のためにも、茎を切るときは必ず水中で切るようにしてください。
花の寿命を伸ばすためには、不要な葉や枝、咲きそうにないつぼみを取り除くことも大切。葉からの蒸発を防ぐことで花の寿命が伸びます。水切りをしてから1時間ほどそのまま水につけておくと、お花がしっかりと水を吸って長持ちします。
カットしたスポンジに水を吸わせる
お花を挿していく吸水スポンジにも下準備が必要です。次の手順で進めていきましょう。
- 花器の大きさに合わせてスポンジをカットする
- 水を張ったボウルにカットしたスポンジを浸す(およそ5分)
- スポンジの色が濃くなったらボウルから取り出し、花器にセットする
スポンジをカットするのは、もともとの大きさでは使えないからです。カッターを使って、花器よりも少し大きめにカットします。
カットしたら、スポンジを水に浮かべるようにして浸します。このとき、スポンジを手で押し込まないようにしてください。無理に押さえて水を吸わせようとすると、逆にスポンジの中心まで水を含ませることはできません。
スポンジが水を十分に含まないと、花が枯れやすくなるので、必ずスポンジが自然に水を吸うのを待ってください。5分もあればスポンジの吸水は完了します。また、花器にセットしたら、スポンジの角を落とします。そうすることで、アレンジの途中でスポンジが崩れにくくなります。
フラワーアレンジメントの基本の作り方|おしゃれに活けるコツもご紹介
上でご紹介した下準備が終わったら、いよいよアレンジメントに取り掛かります!基本の作り方とおしゃれに活けるコツの両方を実践して、満足できる作品に仕上げていきましょう。
「グリーン」「主役」「サブ」の順に挿すのが基本
お花を活けていく基本の手順は次の通りです。
- 吸水スポンジを花器にセットする
- 吸水スポンジを囲むようにグリーンを挿す
- 主役の花をスポンジ中心に挿す
- サブの花を主役の花の周りに挿す
- サブの小花で隙間を埋めて見栄えを調整する
まずはグリーンでアレンジメントの幅や高さを形取り、次に主役の花の位置を決め、最後にサブの花で全体のバランスを整えるという流れです。花を挿す前にラインが出る細長いグリーンや枝もので高さをとり、他のグリーンで横幅と前幅をとり、器のふちが隠れるようにしておきます。
活けるときの高さや角度は、迷ってしまいやすいポイントです。そこで、作りたいイメージの画像を用意しておきましょう。器の高さや幅をベースにその何倍の長さで活けられているかを見て花材を挿していきます。
フラワーアレンジメントの実物がある場合は、そのアレンジメントを間近で見ながら作ってみてください。
実物を見ながらなら、イメージしやすくスムーズに飾れますよ。
主役の花を三角形に配置すればおしゃれな印象に
「手っ取り早くおしゃれな雰囲気にしたい」という方には、主役の花を三角形に配置してみてください。
最初の1本目を吸水スポンジの中心に挿して、縦長の三角形を作るように2本目と3本目の花を挿していきます。この時に、正三角形ではなく左右非対称の三角形を描くように主役の花を配置し、3本の花の高さと前後の配置を調整することで、より立体感がでておしゃれな雰囲気になるでしょう。
必ずしも三角形にする必要はありませんが、三角形のデザインは初心者でも形がとりやすく大きくアレンジメントのバランスを崩すことはないのでおすすめです。
サブの花やグリーンを均等に配分して見栄えを調整
メインの花の配置後には、サブの花やスキマを埋める小花、残ったグリーンを活けていくことになります。おしゃれな仕上がりにするなら、サブの花やグリーンをなるべく均等に配分してみてください。
均等に配分することでアレンジメント全体のバランスが整います。アレンジメントのバランスが良いと、自然と中央に視線を集められるので、主役の花をしっかりアピールできます。
ただ、均等に配分するといっても、高さが揃いすぎないようにしましょう。例えば、サブの花に高低差がないと、どこか単調な印象のアレンジメントになってしまいます。
そのため、サブの花やグリーンを活けるときには、「均等さ」だけでなく「高さ」も意識すると良いでしょう。よりおしゃれな仕上がりを目指せますよ。
雑な印象を与えないために花器のスキマをチェック
作り終わってみて、雑な印象を感じたら、花器のスキマをチェックしてみましょう。
花器を回しながら視線の高さや角度を変え見てみると、スキマから吸水スポンジやワイヤーが見えていることがあります。
フラワーアレンジメントは、すき間なくお花が活けられている華やかさが一番の魅力です。そのため、ちょっとでもスポンジが見えてしまうと一気に雰囲気が壊れてしまいます。
スキマが空いていたら、小花の位置を調整やお花の追加をしてみてください。これだけでも完成度が上がりますよ。
フラワーアレンジメントの作り方には基本の型があります。初心者の方は、その基本にそって進めていってください。自分にできるか不安に感じるかもしれませんが、「お花を楽しみたい」という気持ちがあれば大丈夫です。心惹かれる作品を買ってみたり、お花友達を作ってみたりと楽しむ工夫をしてみましょう!