日本のお正月の風物詩、おせち、お年玉、しめ縄。そして門松。
玄関に飾るとお正月らしさが感じられて新たな一年の始まりを実感します。
でも、「門松ってどんなもの?」「どんな意味があるの?」と尋ねられた時、あなたは答えられますか?
実は、門松はお正月になると山から降りてきて家々に幸せをもたらしてくれる「年神様」への目印なのです。
この記事では、お正月の縁起物として飾られる門松にスポットをあてて紹介します。
門松を飾る意味とは?
門松に使われている飾りにはどんなものがあるのか?
作り方を知る前に門松とは何かを押さえよう
年神様とは、元旦に高い山から降りてきて家々に幸せを運んできてくれる神様のことです。
地域によっては歳徳神とも呼ばれ、五穀豊穣をもたらす神様として奉られてきました。
お正月にはぜひとも家によってほしい神様なわけですが、そんな年神様へのお供えや立ち寄ってもらうための目印として置くのが門松です。
門松は平安時代、正月に小さな松の木を引き抜く「小松引き」が起源と言われています。
一般的に門松は3本の長さが異なる竹が立てられますが、それぞれ長い竹は男性を、短い竹は女性を表し、真ん中は男女の仲を取り持つ意味があります。
伝統的な美しい門松を飾ってお正月気分を楽しみつつ、幸せのおすそ分けもいただきたいですね。
門松の飾りつけに用いられる縁起物
門松で最も目立つ飾りは、青々として凛々しくまっすぐにたつ竹や根本の松が印象的です。
竹は長寿を表し、常緑の松は神様が宿るとされ、それぞれ縁起物となっています。
その他にも次のような縁起物を飾ります。
- 梅
- 千両(せんりょう)
- 南天(なんてん)
- 杠(ゆずりは)
- クマザサ
- ウラジロ
- 葉牡丹(はぼたん)
- 紙垂(しで)
それぞれの意味を解説します。
梅
梅は冬に咲く花で元旦にも用意できる花です。
日本ではおめでたいカラーである紅白の花を咲かせ、寒い冬も枯れない強さから縁起がよいため門松にも飾られます。
また、早春を迎えるとどの花よりも先に咲くことから、出世や開運の象徴ともされています。
千両(せんりょう)
常緑で冬になると赤い実をつける千両は、江戸時代のお金の単位である「両」を持つ植物として、金運を呼び込む縁起物とされています。
赤い実をたくさんつける姿から、豊かさの象徴ともされるようです。
南天(なんてん)
古来から「難を転じる」として魔除けの意味を持つ南天。
赤い実をたくさんつける姿も才能の豊かさや、よい家庭の象徴であるとしてお正月にふさわしい飾りとされています。
杠(ゆずりは)
杠(ゆずりは)は、新しい葉が伸びると古い葉が黄色くなり落葉することから、新旧交代、世代交代を経てさらに発展する象徴とされています。
親から子への世代交代も祈願し、門松に取り入れられるようになりました。
クマザサ
クマザサの語源は「供米笹(クマイザサ)」で、神様からの贈りものであり神様へお供えする植物とする説があります。
門松でも、神前へ供えるという意味で取り入れられたようです。
ウラジロ
ウラジロは左右、対に2枚の葉が広がる姿から夫婦円満を象徴する植物です。
また、葉の裏が白い特徴があり、清らかな心も意味するとして、1年のスタートにふさわしい植物とされています。
葉牡丹(はぼたん)
葉牡丹は、葉の色が紅白に染まる姿から縁起の良い植物とされています。
重なり合う葉も「吉事が重なる」として、江戸時代よりお正月に飾られてきました。
紙垂(しで)
紙垂(しで)は神聖や清浄を意味する特殊な紙で、しめ縄や玉串などに付けられます。
お正月、玄関に飾るしめ縄に垂らされているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
門松の作り方
門松作りの手順は簡単です。
まずは、3本の竹を垂直に立てることから始まります。
長さが違う竹のうち、2番目に長い竹を外側に置く方法は「外飾り」です。
外へ出っ張るような三角形になり、家の中にある災いを外へ出す意味があります。
三角形が内側に出っ張る置き方は「内飾り」と呼ばれ、外から福を呼び込むものです。
竹がまっすぐ立つように土を入れたら、葉牡丹や梅などしっかり固定する必要があるものから順に挿していきます。
根本や植物同士の間を埋めるように松の枝をさし、赤い実が落ちやすい南天や千両は最後に挿して竹などに結び付けて固定します。
門松の容器は木でできた容器が使われますが、容器をマコモで編んだ薦(こも)や、竹の袴(はかま)で巻けば完成です。
近年はマンション向けの省スペースで飾れるサイズの門松もあり、バラエティ豊富になっています。
作り方だけでなく門松の切り方を知ることが大切
一つひとつが縁起物でお正月にふさわしい門松は、竹の切り口にも意味があります。
一般的に有名なのは、切り口が斜めにカットされた門松ですが、水平にカットされたものもあるのです。
寸胴(ずんどう)
竹が水平に切られた竹は「寸銅」と呼ばれ、もともとの形はこちらです。
江戸時代よりも前の主流であり、江戸時代以降も武家では寸銅の門松が使われていました。
そぎ
私たちがよく見かける門松はそぎと呼ばれ、江戸時代から広まりました。
竹の切り口を鋭い角度で削いだ形をしていて、節の部分も切り口にするとまるで笑った口元に見えることから、縁起がよいとされています。
門松の置き方は作り方と並び重要
門松は年神様へのお供え物や目印であるため、門や玄関など目立つ場所に飾るのが一般的です。
門に飾るので門松と呼ばれますが、門がない家は玄関のドアに置きます。
まとめ
門松は、幸せのおすそわけをするために山から降りてくる年神様へのお供え物や目印です。
おめでたい松竹梅をはじめ、葉ボタンや南天、千両やウラジロなど縁起がよいとされる植物をぎゅっと詰め込んだ飾りで、竹の切り方や置き方にも意味があります。
お正月には、ぜひとも飾りたい縁起物です。
最近はマンション向けに小ぶりなものも販売されているので、家の玄関にあったサイズのものを選んで、気持ちよい1年のスタートを迎えましょう。