春の花として人気の高いチューリップは、基本的には秋に植えて春に開花を迎える植物ですが、実は品種によって植える時期や開花時期に多少の差があります。
大きくわけて、冬咲き・早咲き種・一般種・遅咲き種があり、開花時期の差を利用して植える品種を工夫することで、最長で5か月に渡ってチューリップの花を楽しめます。
本記事では、開花の時期によって異なるチューリップの花の特徴とチューリップを植える時期や栽培・管理のコツ、必要な準備や、チューリップを長くf楽しむ方法をご紹介します。
また関連して、チューリップの収穫の方法や、収穫後の楽しみ方等の情報もあわせて解説。チューリップの花を咲かせたい時期や場所にあわせて、ぴったりの種類をみつけてください。
チューリップは品種と地域によって植える時期が違う花
基本的にチューリップは「秋植え春咲き」の植物ですが、実は品種や地域によって植えるべきベストな時期に多少の差があります。
目安として「紅葉が見頃を迎える頃」に植えるのがよいとされており、北海道や東北地方では10月上旬〜下旬以降、北陸や中国日本海側地方では10月下旬〜11月上旬以降、関東や東海地方・近畿・瀬戸内海沿岸では11月上旬以降、九州地方では11月下旬以降が目安です。
チューリップは寒さに強いので、多少時期が遅れても問題ありません。
ただし、あまり遅れると花が咲きづらくなってしまいますので、遅くても年内には植え付けしましょう。特に、大きな花を咲かせたい場合は、お住まいの地域の「紅葉が終わるまで」を目安に植えつけを済ませるようにすることをおすすめします。
一般的なチューリップの植える時期と開花時期
チューリップは、開花時期によって大きく3つの種類に分けられます。
3月中旬〜4月上旬に開花を迎える「早生種(早咲き種)」、4月中旬〜4月下旬に開花を迎える「中生種(一般種)」、4月下旬〜5月上旬に開花を迎える「晩生種(遅咲き種)」の3つです。
さらに、花の咲き方や大きさなどを考慮して15通りに分類されています。
なかには、12月〜2月頃に開花する「アイスチューリップ」という種類も。アイスチューリップは、普通のチューリップの球根を一定期間冷蔵施設で保管し、その後に自然の環境下に戻す処理を施した品種。
それによって、チューリップが『春が来た』と勘違いをし、通常の開花時期より早い冬季に開花を迎えます。
チューリップの花を楽しみたい時期にあわせて、球根の種類を選ぶとよいでしょう。
また、地域によってもチューリップの開花の時期に多少の差があると言われています。
一般的に温かい地域から開花が始まり、九州・四国地方では3月下旬〜5月上旬頃、関東や東海・近畿・瀬戸内海沿岸では4月上旬〜4月下旬頃。北海道や北陸地方では4月下旬〜5月下旬頃に花を咲かせます。
一方で、チューリップを植える時期は、寒冷地域から順に始まります。
「紅葉が見頃を迎える頃」が目安と言われており、北海道や東北地方では10月上旬〜下旬以降、北陸や中国日本海側地方では10月下旬〜11月上旬以降、関東や東海地方・近畿・瀬戸内海沿岸では11月上旬以降、九州地方では11月下旬以降が目安です。
チューリップは寒さに強いので、多少時期が遅れても問題ありませんが、あまり遅れると花が咲きづらくなってしまいますので、遅くても年内、大きな花を咲かせたい場合は「紅葉が終わるまで」に植えつけを済ませるようにしましょう。
植える時期だけでなく植える「深さ」が変わることも
ガーデニングの際は、チューリップの球根を地植えにするか、鉢植え・プランターで育てるかによって、植える「深さ」が変わります。
地植えのチューリップの球根を植え付けるときの深さは、球根3個分の深さが目安です。
浅すぎる場合、根が伸び球根が地上に飛び出てくる恐れがあります。
一方で、鉢植えのチューリップの球根の植え付けは、根が伸びるスペースも確保する必要があるため浅植えで植え付けましょう。球根と球根の間隔は、1〜2個分くらい空けて、少し多めに植えると見栄えがよくなりますよ。
12~2月に咲く「冬咲き」のチューリップを植える時期
冬枯れした庭を華やかに彩ってくれる、冬咲きのアイスチューリップ。
一度球根をポットの土に植え付けて根を成長させたものをポットごと冷蔵するため、すでに芽が出ている「芽出し球根」の状態で流通していることが多いです。
アイスチューリップの芽出し球根は、11月中旬に植えつけると12月下旬から翌年1月頃に開花を迎えます。寒い時期に咲くため花もちがよく、蕾から開花までいれると、約1か月以上楽しめるでしょう。
園芸でアイスチューリップを植えるときは、根を傷めないようにポットからそっとだして、浅めに植えます。
これは、土の温度が浅いところほど、太陽の光によって暖かくなりやすく、生育が促進されるためです。
寒い地域の場合でチューリップの球根1個分ほど、暖かい地域の場合は球根0.5個分くらいが目安です。
また、冬咲きのアイスチューリップの球根は成長のスピードが早いので、たっぷりと水をあげるようにしてください。植えた当日は2〜3回水やりをしてしっかりと土に水分を含ませ、その後1週間は毎日1回水やりをしましょう。
そのあとは、地植えの場合は土の表面が乾く前に、鉢植えの場合は2日に1回程度水やりをしてください。アイスチューリップは、特に栽培温度によって開花のタイミングが前後します。
鉢植えの場合は、適温とされる10〜15℃を目安に、鉢を置く場所を変えることで開花のタイミングを早めることもできるでしょう。
2月~4月上旬に咲く「早生種」チューリップを植える時期
早咲きのチューリップのなかでも、特に早く開花を迎えるのが「アーリースマイルチューリップ」です。
アーリースマイルチューリップも、アイスチューリップと同様に球根をあらかじめ低温処理しているため、植え付けしたあとすぐに芽が動き出し、本来の開花時期より約1か月早く開花を迎えます。
植える時期は一般的なチューリップと同じく「紅葉が見頃を迎える頃」が目安です。植え付ける前に、球根の下3分の1くらい皮を剥いてから植え付けてください。
アーリースマイルチューリップは、アイスチューリップと同様に気温が低い時期に開花するため、花もちがよく、3週間近く美しいチューリップの花を楽しめます。
3月下旬頃から開花を迎える早生種は、コンパクトであることが特徴です。草丈は大体20〜30cmと低く、花壇や鉢植えを可愛く仕上げるのにぴったりです。早生種には、「一重早咲き」と、「八重早咲き」の2種類があります。
- 一重早咲き:丈は低めで小ぶりの花を咲かせます。花びらの先が尖っているのが特徴で、花の形はカップ状。茎は強く、ガーデン向きです。
- 八重早咲き:丈は低めで、何枚もの花びらが重なって花を咲かせます。ガーデンやコンテナガーデンに向いています。
春のはじめに開花を迎えるので、卒業・入学シーズンにあわせて花を咲かせたい場合は、早生種を選ぶとよいでしょう。
4月上旬~4月下旬に咲く「中生種」チューリップを植える時期
一般的なチューリップの多くは4月に咲く中生種です。品種が豊富なので、好きな色や咲き方のチューリップを選ぶことができます。
特に中生種のチューリップはカラフルな品種が多く、鮮やかな色合いが花壇をぱっと明るく華やかに彩ります。草丈は早生種より高めで、長い花茎と花のバランスもよく、切り花としてチューリップを楽しみたい方にもおすすめです。
中生種のチューリップの球根を植える時期は、「紅葉が見頃を迎える頃」です。中生種は大きくわけて「トライアンフ」と「ダーウィンハイブリッド」の2種類があります。
トライアンフは一重早咲きと一重遅咲きの品種を交配して作られた品種。花の形は正統派のカップ状ですが、縁取りや縞模様など個性的な色合いの品種が多いのが特徴です。切り花向けに多くの品種が作られています。
ダーウィンハイブリッドは、一重遅咲きと原種を交配して作られた比較的新しい品種。一重遅咲きの草丈・茎・葉の強さと、原種の開花時期・鮮やかな花の色といった、"いいとこどり"の品種。大型ならではの豪華さが最大の特徴です。
4月下旬~5月頃に咲く「晩生種」のチューリップを植える時期
「晩生種」は、春の終わりの4月下旬〜5月下旬にかけて咲く遅咲きのチューリップです。ゴールデンウィークの頃に花を咲かせたい場合は、晩生種のチューリップを選ぶと良いでしょう。5月上旬に開花を迎えることから「メイフラワー」とも呼ばれます。
晩生種のチューリップの球根を植える時期も、「紅葉が見頃を迎える頃」が目安となります。
晩生種のチューリップは、草丈が40〜60cmと比較的高めで、咲き方の種類が豊富です。咲き方によって「一重遅咲き」「八重遅咲き」「ユリ咲き」「フリンジ咲き」「パーロット咲き」「ビリディフローラ」「レンブラント咲き」の7種類に分けられます。さまざまな咲き方のチューリップから、お気に入りの品種を見つけてください。
- 一重遅咲き:楕円形または卵型の花で、草丈が高いためボーダーガーデンによく利用されます。
- 八重遅咲き:牡丹に似た大きく華やかな花を咲かせます。草丈が高めで花色も豊富です。
- ユリ咲き:ユリの花のように花びらの先が細長く外側に反り返るように花を咲かせます。
- フリンジ咲き:花びらの縁に細かな切れ込み(フリンジ)が入る、可愛らしい印象のチューリップです。
- パーロット咲き:大きい花でフリルやツイストの花びらを持ちます。花びらの深い切込みが、オウムの頭のようにみえることから名付けられました。
- ビリディフローラ:花びらの真ん中に緑色の縦ラインが入っており、グリーンチューリップとも呼ばれます。
- レンブラント咲き:花びらに縞模様や絞り模様が入った個性的な花を咲かせます。
植える時期をずらす「リレー栽培」でチューリップの花を長く楽しむ
チューリップは通常1〜2週間程度で見頃が終わってしまいますが、開花時期に応じて品種を選び栽培することで、チューリップをより長く楽しめます。ここでは、その補法をご紹介しましょう。
リレー栽培とは?
冬に咲くアイスチューリップから晩春に咲く晩生種まで組み合わせて植え付けをすると、最大で5か月ほどリレーのようにチューリップが咲き続けるのです。このような栽培の方法を「リレー栽培」といいます。
「リレー栽培」をするときは、違う品種の球根を同じ間隔で植えてしまうと、花が咲く時期がずれてスカスカな見た目になってしまうため、「密植」がおすすめです。
チューリップの球根を密に植える方法で、地植えなら4〜5cm、鉢植えなら2〜3cmほどの間隔で植えましょう。
密林をすると、それぞれの時期に咲くチューリップの花の数が増えるので、リレー栽培でも華やかな花壇を作れます。ただし、密植をすると次の花のためのエネルギーを蓄えることができず、その球根が1年で終わってしまうというデメリットもあるので注意が必要です。
翌年も同じ球根でチューリップを咲かせるため密植をしたくないという場合は、チューリップの球根の間に、開花時期が同じチューリップ以外の花を一緒に植えることもおすすめです。
リレー栽培に最適!開花時期の違うチューリップ一覧
- 12月〜2月の真冬に咲く「アイスチューリップ」
アイスチューリップは冷蔵処理をした芽出しポットの状態から植えつけるので、栽培も簡単です。寒い時期に花が咲くので花もちがよく、約1か月楽しめます。 - 2月〜3月の早春に開花する「アーリースマイルチューリップ」
アーリースマイルチューリップも、冷蔵処理をすることでチューリップに春を疑似体験させ、早い時期の開花を可能にしています。アーリースマイルチューリップも花もちがよく、3週間程度楽しめます。 - 3月中旬〜4月上旬に咲く「早生種」
3月下旬頃から開花を迎える早生種は、コンパクトであることが特徴です。草丈は大体20〜30cmと低く、可愛いらしい印象のチューリップです。 - 4月中旬〜4月下旬に咲く「中生種」
チューリップの多くはこの時期に開花を迎えます。品種が豊富なので、たくさんのチューリップから、好きな色や咲き方の品種を組み合わせて楽しめます。 - 4月下旬〜5月上旬に咲く「晩生種」
晩生種のチューリップは、草丈が40〜60cmと比較的高めで、個性的な咲き方の品種が豊富です。
ぜひ「リレー栽培」に挑戦して、春の花の代表であるチューリップをより長く楽しんでくださいね。
チューリップと一緒に植えたい一年草
チューリップは、他の花と寄せ植えをして楽しむこともできます。
寄せ植えには、一年草がおすすめです。一年草とは、種を蒔いて一年以内に開花し、実をつけて種子を残し、枯れる植物のことを言います。
一年草の花は、その季節を彩ったら役目を終えるため、植え替え作業の必要がなく、寄せ植えしたあとの花の切り替えや片付けがラクです。
また、開花期間が長いため、チューリップが開花を迎える前〜花びらが散る後まで、花壇を華やかに彩ります。
チューリップとの寄せ植えには、チューリップと同じ時期に花を咲かせ、チューリップよりも背丈が低いお花がおすすめです。特に相性のよい一年草を3つご紹介します。
・アリッサム(スイートアリッサム)
アリッサムは、ごく小さな花びらが特徴の小花をたくさん咲かせる多年草です。「スイートアリッサム」の名前でも親しまれています。
草丈が低く、根本を覆うほどのボリューム感が出るので、インパクトのある花壇に仕上がります。手入れが簡単で育てやすいので、初心者にもおすすめのお花です。
・パンジー、ビオラ
冬から春にかけての寄せ植えで多用されるパンジーとビオラ。濃い色からパステルカラーまで、花色のバリエーションが豊富で、寄せ植えするチューリップの色にあわせて選ぶことができます。
また、秋から春まで長い間花を咲かせるので、チューリップが発芽するまでのあいだも水やりを忘れにくく、初めて寄せ植えをする人におすすめのお花です。
・ワスレナグサ
花径5mm〜10mmほどの小さな花を咲かせます。淡いブルーのワスレナグサが有名ですが、園芸品種には、ピンクや白の花色のものもあります。寄せ植えするとチューリップの開花時期にあわせて、花色を添えてくれるでしょう。
また、寄せ植えをするときは、「鉢の大きさにあわせて、全体のお花の数やバランスを決めること」と、「それぞれのお花がきれいに見える向きを気にして植えること」を意識すると、きれいに寄せ植えられます。チューリップは草丈の高い植物なので、チューリップを花壇の奥に植え、背の低い一年草を手前に植えると、全体のまとまりがでてバランスのよい寄せ植えが可能ですよ。
チューリップが咲いたら収穫!
たくさんのチューリップが咲いたら、収穫して切り花として楽しみましょう。チューリップは長くてしなやかな茎が魅力のひとつです。チューリップの花を収穫するときは、地面からすぐのところで茎を切り、茎をできるだけ長めに収穫するといいでしょう。
また、チューリップの球根は、掘り上げて保存し、また秋に植えつけることで翌年も楽しむことができます。花が完全に散る前に早めにカットすることで、球根を太らせつつ、切り花にすることも。
ただし収穫の際には、葉っぱを全て残すように注意してください。葉による光合成で、球根を肥大させます。葉が緑のうちは、土が乾かないように定期的に水を与えてください。
その後約1ヶ月半後、気温が高くなる頃に葉が黄色く変色してきたら、チューリップの球根の収穫期を迎えます。球根を傷つけないように注意しながら、球根の掘り上げを行いましょう。球根についた土はやさしく拭き取る程度にして、水洗いは避けてください。球根が腐る原因となります。
収穫したチューリップの楽しみ方
チューリップの切り花を花瓶に挿して飾ると、部屋の中でも春を感じることができます。
チューリップは茎が柔らかいので、花の重さで茎がしなって曲がってしまうことがありますが、こういうときはしなりに逆らわず、花がなびく方向に自然に見えるよう挿したり、生けたりするとよいでしょう。
また、花瓶に対してお水の量が少なめの「浅水」が最適です。球根のお花であるチューリップは、水をたっぷり入れてしまうと茎が腐ってしまう恐れがあります。
チューリップは切り花になってからも、茎が伸びたり、花が開いたり、成長を続けます。暖かい部屋に置くと成長が早いので、通気性がよく気温の低い玄関などに飾ると長く楽しめるでしょう。
チューリップにあわせる花瓶の大きさや、お花の数によって、違った雰囲気を楽しむことができます。
また、チューリップの花束をアレンジしてプレゼントする場合は、合わせる花を同系色の少しくすんだ色のお花でまとめると、チューリップを引き立てながら、大人っぽいアレンジが出来上がります。
チューリップのフラワーギフトは通販サイトが便利な理由
春の花の代表格・チューリップのフラワーギフトをプレゼントするなら、通販サイトが便利です。忙しくてお花屋さんに行く時間がない人も、豊富なラインナップの中から簡単に好きなお花を選べます。
また、遠距離恋愛中の恋人や、遠くに住む家族や親戚、なかなか直接会うことのできない大切な人にも、新鮮なお花を届けることが可能です。
「お花のプレゼントは嬉しいけれど持ち帰りが大変」という声もありますが、通販サイトなら、受け取る側の都合にあわせて、希望の日時にご自宅まで届けることができるので、持ち運びの心配もありません。
チューリップの開花時期ごとの種類と植える時期についてご紹介しました。
春の花の代表花であるチューリップも、植える品種を工夫することで、より長く楽しむことができます。
育ててみたいチューリップの品種は見つかりましたか?
開花時期・好きな色・好きな咲き方・・等々、豊富な品種の中からどのチューリップにするか、選ぶ基準はさまざまです。
本記事を参考に、自分にぴったりのチューリップをみつけて、栽培や収穫を楽しんでいただけると嬉しいです。