「トルコキキョウ(トルコギキョウ)」は、バリエーション豊かな咲き方と花色でとても人気がある花です。優美で上品な見た目に加えて花持ちもするので、贈り物やお花のスクールなどさまざまなところで活躍しています。
そのため、「自分の手で咲かせてみたい!」という人もたくさんいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、そんなトルコキキョウを「育て方」という観点から丁寧に解説します。
どのような事前準備が必要なのか、開花させるためのコツ、育てやすい品種など、ふだんあまりガーデニングに親しんでいない人にもわかりやすくまとめてあります。
ぜひ、自分の手でトルコキキョウの花を咲かせる喜びを味わってみて下さいね。
トルコキキョウってどんな花?育て方は簡単?
トルコキキョウの切り花はとても長持ちします。通年流通しているので、フラワーギフトやウェディング会場の装飾などあらゆるところに使われています。
病気・害虫には比較的強く、切り花としても長持ちするトルコキキョウですが、実は育てるとなるとかなり難易度が高い花です。特に種から育てることが難しいので、苗から始めたほうがよいでしょう。
開花時期は6~9月です。トルコキキョウはとてもゆっくり育ちます。前年の秋に種まきしたものが春に苗になり、初夏にようやく開花します。草丈(くさたけ)は品種によって異なります。切り花用なら約60㎝、鉢植えで楽しむなら約15㎝など、用途で選ぶのがおすすめです。
育て方(1):トルコキキョウを育てる前の事前準備
トルコキキョウを開花させるポイントの1つは、事前の「環境づくり」にあります。
トルコキキョウは、日当たりや風通しのよい場所を好みます。真夏日や雨の日など、天気によって置く場所を変えたほうがうまくいくので、鉢やプランターのように移動できるもので育てることがおすすめです。
鉢のサイズは「4号鉢(直径12cm)に1株」を目安にしましょう。トルコキキョウは1鉢に1株を植えると、丈夫に育ちやすくなります。鉢のサイズが5~6号なら3~4株、大型プランターであれば10~15cm間隔で植え付けます。
次に、土を準備します。鉢植え・地植え(じうえ)にかかわらず、水はけと水持ちのよい土を好みます。弱酸性(pH6.5前後)の土を、根が丈夫に伸びるようによく耕してから使います。
あらかじめ調合された市販の草花用培養土(ばいようど)を利用するとよいでしょう。自分で調整する場合は、赤玉土(小粒)と腐葉土(ふようど)の割合が7:3になるようにします。
育て方(2):トルコキキョウの植え付け方法
種と苗のどちらからスタートしても、トルコキキョウを植え付ける(定植する)時期や方法は同じです。
植え付けは、本葉2~3節が生えてきたときがタイミングで行います。3月~5月ごろ、気温が15℃以上になってきたら始めましょう。
【準備するもの】
- トルコキキョウの苗
- 鉢やプランター…「4号鉢(直径12cm)に1株」が目安。4号以上の鉢か大型プランター
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- 用土…市販の草花用培養土など
【苗を植え付ける方法】
- 鉢に鉢底ネットを入れる。水はけをよくするために、鉢の底には鉢底石を2~3㎝敷いておく
- 準備しておいた用土を、鉢の約l/3まで入れる
- ポットから苗を抜き、根と土ごと鉢の中央に置く
- 苗を押さえながらその周りに用土を入れ、安定させる
- 用土は鉢のふちから2~3㎝下のところまで入れる1i>
- 最後にたっぷりと水を与え、日当たりと風通しのよい場所で管理する
種から育てるには
トルコキキョウは、発芽の適温が20℃前後です。温暖地では9~10月ごろ、寒地・寒冷地では3~4月ごろに種をまきます。
トルコキキョウの種はまるでほこりのように細かく、雨風で飛んでしまうほどの小ささです。
トルコキキョウの発芽には日光が重要で、土を被せないほうがよいため、鉢や地面への植え付けでは発芽しない場合が多いです。代わりに、「ピートバン」など微小な種を育てるためのグッズで発芽させ、それから育苗(いくびょう)・植え付け(定植)という順番で育てていくことをおすすめします。
【準備するもの】
- トルコキキョウの種…コーティングされた種子がおすすめです
- ピートバンかジフィーセブン…細かい種をまくためのグッズです
- ピートバンなどの受け皿
【種をまく方法】
- ピートバンをセットし、水をたっぷりと含ませる
- 重ならないように種をまく
- 種が散らないよう、静かに水をかける ※土はかけない
- 風通しのいい日陰に置き、水は受け皿から吸わせるようにする
- 2週間ほどで発芽が確認できたら、日に当たる場所へ移す
- 双葉がよく展開し、本葉が2~3枚出てきたら、育苗ポットへ植え替える
苗から育てるには
苗から始めるメリットは、幅広い品種から選べることと、失敗が少なく購入から約2~3ヶ月で花を楽しめることです。トルコキキョウのポット苗は、12~4月ごろに出回ります。それを大きな鉢やプランターに植え替えし、大切にお手入れをします。
丈夫に育ちやすい苗を見分けるコツは2点です。
葉…濃い緑色である
茎…色つやがよい
切り花用なら草丈約60㎝以上の品種を、鉢植えのまま楽しむなら矮性種(わいせいしゅ)というように、用途に合わせて種類を選ぶのもおすすめです。
育て方(3):トルコキキョウの苗を大切に育てるお手入れ方法
トルコキキョウのお手入れの大きなポイントは、「水やり」と「害虫対策」です。
病気・害虫には意外に強いトルコキキョウは、日々の予防にそれほど神経質にならなくても大丈夫です。コツをつかみ、ポイントを絞ってお手入れしましょう。
トルコキキョウの水やりのコツとタイミング
トルコキキョウの原産地、北アメリカでは、生育期が雨季で、開花期が乾季にあたります。そのため、時期によって必要な水の量がかなり変わることがポイントです。
- 生育初期…種からポット苗のころまでの生育初期は、絶対に土を乾かさないように気をつけて下さい。
- 生育期…定植してつぼみが見えるころまでは、水を多めに与えます。土の表面が乾いたときがタイミングです。
- 開花期…開花期が近づいたら水やりは少し控えめにします。雨の当たらない場所に移すか、雨よけなどをしましょう。
どの生育期間中も、雨に当たらないように注意してください。水やりの際は、芽や花にかかると傷むので、株元からゆっくり与えることがコツです。
トルコキキョウの害虫対策
トルコキキョウは害虫にはわりと強い花ですが、ゼロにするのはやはり難しいものです。トルコキキョウにつきやすい2種類を中心に観察してみて下さい。
アブラムシ
どの生育期間もつきやすいので、注意が必要です。新芽や葉について生育を妨げるだけではなく、ウィルスを媒介して植物に病気をもたらします。見つけたらすぐに、殺虫剤をまいて早めに駆除しましょう。風通しをよくすることもアブラムシの発生を防ぐポイントです。
ヨトウムシ
生育初期の苗の葉を食い荒らす、ガの幼虫です。植え付けたころの葉がぼろぼろになっていないかよく見てみて下さい。見つけたら捕殺(ほさつ)します。株以外に、土中や鉢の裏なども確認しましょう。
育て方(4):トルコキキョウの花が咲いたら?長く楽しむための方法
花が咲き終わったら、「花がら摘み(はながらつみ)」という作業をします。花びらがしおれてきたタイミングで、花がらのつけ根から切り落とします。トルコキキョウはどんどん新しい花が咲くので、できるだけこまめにしましょう。
また、枯れた花をそのままにしておくと、灰色カビ病などの原因にもなります。予防のためにも、枯れて色あせた花はできるだけ早めに摘み取ってください。
育て方(5):トルコキキョウは開花時期が過ぎたら「切り戻し」
初夏にほとんどの花が咲き終えたら、茎をカットする「切り戻し(きりもどし)」をしましょう。それによって植物の生育を促し、花が咲きやすくなります。
切り戻しでは、草丈の半分ぐらいの高さまでカットします。その後追肥(ついひ)を施し、夏を越えさせれば、初秋にもまた花が楽しめるようになりますよ。
トルコキキョウに植え付け・植え替えは必要?
トルコキキョウは咲き終わると枯れてしまうので、植え替える必要がありません。
トルコキキョウは、あまり植え替えを好みません。できるだけ、購入したときの鉢植えなどのまま育てたほうがよいでしょう。ポット苗を大型プランターなどに植え替えるときは、「育て方(2):トルコキキョウの植え付け方法」を参考に行って下さい。
トルコキキョウの増やし方は?かなり高難易度!
実は、トルコキキョウは増やすのが難しい花です。そのため、最初のうちは苗から始めることをおすすめします。
これまで解説したように、種は売っているものの、そこから苗を育てるのがとても難しい花です。種まき専用グッズを揃えても、なかなか発芽させられません。
苗からであれば、開花する可能性がぐんと高まるトルコキキョウ。その姿を楽しむためにも、まずは苗から育て、慣れてきたら種まきにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに、トルコキキョウは「挿し穂」を使って増やすこともできます。挿し穂とは、出てきた脇芽を切り取って土に挿す方法。
しかし、この方法で増やすのはとても難しく、ガーデニング初心者には向いていませんので、注意しましょう。
育てやすいトルコキキョウの3品種
トルコキキョウの中にも、いくつか比較的育てやすく改良された品種があります。開花時期が長く、花持ちする品種を3種類紹介します。
育てやすい品種(1)シェリー
この品種は、初心者でも簡単に育てられるように作られました。
地植え用に品種改良されているので、雨や病害虫などにもわりと強めです。1本の茎からたくさん咲くスプレー咲きで、開花時期も長いので、長い間花を楽しめます。
育てやすい品種(2)ユーストマホライズン
鉢植え用に改良された品種です。約15㎝と草丈は低いのですが、枝や花数が多く、ライラック色やサーモンピンクなどさまざまな色の花を咲かせて楽しませてくれます。
育てやすい品種(3)メローグリーン
とても丈夫で、長く花持ちします。白と緑色がまじった花色なので、人気の「白+グリーン(葉)」のアレンジメントが作りやすくおすすめです。
まとめ
トルコキキョウは、種からと苗からのスタートとで、育て方の難しさがかなり変わる花です。まずはたくさんの花が咲く姿を楽しんでほしいので、苗から育てることをおすすめします。
トルコキキョウの苗は、ネット通販でも購入できます。品質にこだわったさまざまな品種の中から選びましょう。
お手入れは少し大変かもしれませんが、花が咲くのを見たら、その苦労はすっかり飛んでしまうはず。花に彩られた家は、これまでよりもさらに大切な場所になります。今回紹介した育て方を実践して、ぜひトルコキキョウを楽しんでください。